中国にある日系企業が、4年ぶりに減少?
外務省が5月31日に発表した海外在留邦人数調査統計によると、中国に進出している日系企業の拠点数は、前年比3.2%減となり4年ぶりに減少に転じました。
日系企業の中国離れの背景については、中国労働者の賃金が相対的に高くなりタイやインドネシアなどに移転したほかにも、日本に撤退した企業も多くあり
大気汚染など生活環境の問題も影響したのではないかと分析しています。
2014年には日系企業の進出数は過去最高に!
2014年10月1日時点で海外に進出している日系企業の総数(拠点数)は過去最高の6万8573拠点で、前年比4796拠点増(7.5%増)でした。
進出先の国別にみると、首位は「中国」で3万2667拠点・2位「米国」7816拠点・3位「インド」3880拠点、次いで、「インドネシア」1766拠点・「ドイツ」1684拠点・「タイ」1641拠点の順となっていました。
海外進出のその目的としては、「海外での需要増」・「取引先企業の海外進出」・「人件費の削減」などがあげられます。
しかし、この5年間で中国の労働環境に変化が起きています。
なぜ日系企業は一斉に中国離れをしているのか?
今までは13 億の人口と豊富な資源を抱える中国に対し、多くの企業が進出し、中国とのビジネスにも参入し収益を上げています。
しかし最近では中国に進出した先進国の一流企業の多くが、中国から引き揚げ、東南アジアなどへ生産拠点をシフトさせる動きを加速しています。
中国進出の最大の魅力は、アパレル生産等の低賃金が前提の労働集約型産業向けでしたが、この5年間で中国労働者の賃金は毎年前年比で2桁上昇し賃金が2倍に高騰したことが挙げられます。
高騰した労務コストを負担できない企業は、中国を出てゆくしかありません。
しかもベトナムの賃金は、中国の半分でミャンマーは5分の1です。
更に中国人も賃金の上昇や生活レベルの向上により、いわゆる3Kの職場が敬遠される傾向が強まっており、肝心の繁忙期に労働者が集まらなくなってきているともいわれています。
中国は以前より地方も豊かになってきている為、これまで内陸部から無限に供給される大量の労働者を使用する事が出来にくくなっている状況があります。
また、日中間の政治問題も日系企業特有のリスクであり、労働者側が歴史問題を持ち出して強く出た場合の衝突も懸念されます。
こういった事情から、各企業も撤退や東南アジアなどの移転を模索しているようです。また深刻な大気汚染問題もあります。
深刻な大気汚染で生活環境の悪化!
中国も経済成長をあまりに重視してきた結果、環境汚染が今では完全に限界を超えている状況です。
中国では今や、大気汚染のチェックが欠かせない状況でありスマホ向けに多数のアプリも用意されており、都市ごとに大気の質を示すAQI(大気質指数)が表示され、時には健康な大人に対しても「屋外活動を控えるべき」と注意を喚起されるほど国内での生活環境が悪化しています。
以前から、一部の富裕層が中国脱出を計るために海外不動産を積極的に買いつけるなど、中国での生活環境は悪化している事も影響しているようです。
移転先の東南アジアの魅力
では、中国から撤退した日系企業はどこに向かっているのでしょうか?
注目すべきはASEAN(東南アジア諸国連合)で、その中でも特に経済規模の大きいインドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナム・タイへの動きが見られます。
これら5カ国には2013年に中国以上の外国投資を集めました。
また、人件費が高騰している中国と比較してもアジア諸国は総じて安価で豊富な労働力を有している事や、経済回廊のインフラも進んでいる事から市場としての将来的な魅力も大きいとされています。
今、中国から東南アジアへと「世界の工場」の潮流は変化の時を迎えています!
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