中国スマホ大手“OPPO”の参入で日本のスマホ市場はどう変わる?
中国のスマホメーカー、OPPO(オッポ)が2018年4月にも日本に参入することがわかりました。iPhoneの人気が世界に比べても強い日本市場ですがオッポの参入で日本のスマホ事情は変わるのでしょうか。
目次
日本のスマホ事情
日本はiOSのiPhoneが主流
世界ではAndroidのシェアが毎年上がっており、2017年では70%を超えています。逆に、iOSのシェアは下がり傾向で、2016年から20%を下回っています。世界では圧倒的にAndroidのシェアが高く、さらにその傾向は年々強くなっています。
ところが日本においては2012年以前はiOSのiPhoneとAndroidのシェアはほぼ一緒でしたが、その後、5年間はiPhoneが徐々にシェアを伸ばしていました。すなわちiPhoneのシェアが世界に比べて圧倒的に多い状況にあります。2017年の国別iPhoneシェアを見ると、日本68.6%、アメリカ53.8%、中国30.2%、インド2.5%でした。日本でのiPhoneのシェアは世界的に見てもかなり高いようです。
また、逆にインドはiOSのシェア2.5%と驚くべき低さです。すなわち、世界ではAndroidが主流なのです。世界全体で見るとAndroidが7割を占める傾向なのですが、日本市場だけが逆転しており、iOSが高シェアを占めていることになります。ではなぜ日本ではiPhoneのシェアが高いのでしょうか。
馴染みが無かったAndroid
iPhoneが日本で販売を開始したのは2008年のことです。その当時はまだ「スマートフォン」という概念が存在せず、iPhoneがスマホという概念を作ったと言っても過言ではありません。
その当時、iPhoneのライバルであるAndroid系スマホは存在こそしていたものの、性能は低く日本では全くの無名でした。つまり、日本のスマホ市場はiPhoneの独壇場だったのです。
また、iPhoneはソフトバンクでの販売を皮切りにau、ドコモでも契約できるようになりました。iPhone人気の恩恵を受けたい大手携帯会社は、実質負担金0円など大幅な割引を行い、利用者離れを阻止しました。(2016年2月にiPhoneの実質負担金0円が原則禁止に改正されるまで、スマホ端末の実質負担金は1万円未満が主流でした)結果的に、大手携帯会社が「iPhoneユーザー拡大」を後押しすることとなりました。
また、元々の日本の携帯市場は、皆が非常に多くの機能を備えたガラパゴス携帯電話を使っていたために、その中でスマホに買い替える際には誰もが上位互換したいと考えます。もしもそこでAndroidの廉価版を売ってしまえば、機能をそぎ落とし、低スペックの製品を握らせることになり、日本人を満足させることはできなかったでしょう。
買い替え時もiPhoneに
さらには、携帯販売店のビジネスモデルとして、顧客への面倒な説明の時間を短縮してなるべく回転率を上げようという発想があります。その時、iPhoneは顧客に説明する手間が省け、非常に短時間で売ることができるので、意識的に販売店はiPhoneを売ろうとするでしょうし、顧客も慣れているiPhoneを選択するのでしょう。契約単価としてはAndroidの方がサービスメニューが豊富で高く、利益率が良いのですが、iPhoneはカバー、イヤーホンなどの純正アクセサリでその分を補うことができます。
日本でのAndroid端末は高い
日本の国産品には現在ではXperia(ソニー)、AQUOS(シャープ)、ARROWS(富士通)などAndroidスマホがありますが、安いはずのAndroid端末が、実際には国内の独自機能を盛り込むことにより、iPhoneと同等か、それより高い価格で売られています。iPhone自体が世界標準に比べると安くなっていることに加え、Android自体も世界標準で見て高くなっているのです。同じようなスペックで同じ値段であればやはりブランド力もあるiPhoneを選んでしまうでしょう。
海外ではAndroidが主流
海外ではAndroidが安いために高いシェアを誇っています。ZTE Warp、LG Motion、サムスン社のCaptivateなどといったモデルは1万円を切るほど安い端末代となっており、彼らの給与水準を考えると非常に魅力的です。インド・インドネシア・中国・ブラジルではiPhone 5の価格は当時平均月収の2.5~3倍であったため、ほとんどの国ではiPhoneは高級品という扱いになっているのです。
また、海外では日本と異なり、そもそもそれほど高機能でないガラパゴス携帯電話が使われていたため、廉価版のスマートフォンの購入でも低スペックな携帯電話からの「上位互換」となり、人々は安いAndroidを喜んで買ったのではないでしょうか。また、iPhoneは「アジア圏でのみ極端に安く売る」ということができないグローバル製品であり、そのため低い給与水準の中ではAndroidの廉価版に、よりニーズがあったのかもしれません。
つまり、世界ではリーズナブルなAndroid製品が最も売れている一方で、日本では最も高いiPhoneが最も売れているのです。
日本へ新規参入のオッポはどんなメーカーなのか
OPPOは中国で販売台数首位のメーカーです。毎年順位が入れ替わり、激戦区となっている中国スマホ市場で、OPPOは2016年に販売台数がHUAWEI(ファーウェイ)を抜いて1位になり、2017年も首位でした。
ちなみに中国スマホ市場の2017年第3四半期時点での販売台数シェアはOPPO(オッポ):18.9%、HUAWEI(ファーウェイ):18.6%、VIVO(ビボ):18.6%、XIAOMI(シャオミ):13.8%、APPLE(アップル):10.0%であり、iPhoneのAPPLEは5位に留まっています。
日本では2018年4月から販売開始予定で、すでに日本法人は設立されており、日本でのSIMフリースマホの販売や、大手キャリアでの採用も目指しているようです。OPPOの創業は2004年で、最初は音楽のMP3プレーヤーやMP4プレーヤーを製造師販売していましたが、その後2008年から携帯電話の製造を開始し、2012年にスマホメーカーとなりました。
XIAOMIは自社で工場を持たないファブレスですが、OPPOは自社工場を持って生産しているため、生産ノウハウも自社に蓄積する事が出来るので品質向上を行いやすい経営をしています。
OPPOのスマホの特長
便利さ重視でインカメラにこだわり
中国の多くのスマホは、「高性能なCPUやメモリだが、価格は安い」といった売り出し方をしていますが、OPPOは他社とは異なった戦略で「CPUはミドルレンジでも多機能で使いやすく、デザインが良い」という方向性で製品を作っています。
最新機種の「R11」では、CPUはミドルレンジ級のSnapdragon 660ですが、インカメラが2,000万画素、アウトカメラが2,000万画素 + 1,600万画素と、通常のスマホはアウトカメラの方が画素数を大きい物にするのに対してインカメラもアウトカメラと同等の画素数にしており、また、カメラアプリにはビューティーモードが搭載されていて自撮りが綺麗に撮れるカメラという特長を打ち出しています。
細かい便利機能
顔認証にも対応しており、デザインも最近の流れに乗ってベゼルが狭くほぼ全画面有機ELディスプレイになっています。また、急速充電にも対応し、たった5分の充電で2時間の通話ができるなど、細かい便利機能もあります。
iPhoneに対抗したオシャレ感と安さ
スマホでは高級品のiPhoneには手が出ないけど、実用的なスマホが欲しい、という層に受け入れられています。OPPOのスマホの価格は、最近のモデルでは日本円で3万円~5万5,000円程度。中国では2万円程度の低価格の格安スマホも多く売られていますが、低価格モデルだと物足りなさを感じるユーザーにとって丁度いい価格帯と機能になっている事も売り上げに繋がっているようです。
日本におけるスマホメーカーシェアランキング
日本における2017年前半(1~6月)のスマホメーカーシェアのランキングではさすがに国内メーカーもランクインしていますが、AppleのiPhone人気によって国内メーカーが壊滅状態であることが一目瞭然です。
ランキング | メーカー | 国 | シェア |
1位 | Apple | アメリカ | 69.52% |
2位 | Samusung | 韓国 | 4.82% |
3位 | SONY Ericsson | 日本 | 3.66% |
4位 | Huawei | 中国 | 1.52% |
5位 | アメリカ | 0.74% | |
6位 | SONY | 日本 | 0.70% |
7位 | ASUS | 台湾 | 0.63% |
8位 | SHARP | 日本 | 0.54% |
9位 | HTC | 台湾 | 0.53% |
昨年11月のApple のiPhone Xの発売に対抗するように、中国のHuaweiが12月1日にSIMロックフリーAndroidスマホのAI内臓フラッグシップモデル「Mate 10 Pro」価格8万9,800円を発売し、リチャード・ユーCEOが更に、今春にも「日本で驚くようなスマホを発表する」と約束しています。Huaweiがこれまでの低価格中心の製品展開から、ハイエンド・ブランドへ転向し、「サムスンやアップルのiPhoneを超えてみせる」と強気な発言をするなかで、同じ中国のOPPOは低価格帯での参入であり、はたしてOPPOの目論見は何処にあるのでしょうか。
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