【悲報】不発に終わった中国イノベーション 　無人コンビニの末路・・・

中国の2013～2016年は、ITイノベーションの全盛時代でした。モバイル決済に加え、配車アプリ、シェアサイクル、フードデリバリーなどのシェアエコノミーが、一気に開花しました。これらの中では、配車アプリ（滴滴出行）、フードデリバリー（餓了蘑、美団外売）は成功しましたが、シェアサイクルの評価は少し微妙です。2トップとして業界をリードしたofo、Mobikeの2社の現状が、あまり芳しくないからです。MoBikeは美団に買収され、ofoは廃車の山や、保証金の未返還など、社会不安を巻き起こしました。とはいえ、プレイヤーは入れ替わっても、サービスとしては定着しました。

ここでは、それ以下に終わっている新サービス、いわば不完全燃焼のイノベーションに目を向けてみましょう。無人コンビニとカーシェアリングです。

2016年8月、初の無人コンビニ「繽果盒子（Bingo Box）」が、広東省中山市にオープンしました。翌2017年6月には上海へ進出、2018年5月には北京、広州、大連など全国40都市に400店を展開しました。

2016～17年には超有望な投資対象と見られていました。「EasyGo未来便利店」「F5未来商店」「小麦舗便利店」「恰食盒子」「京東無人超市」等が、資金調達に成功し、一斉に店舗網を拡大しました。雨後の筍状態でした。

でも、2018年下半期、早くも失速を始めます。トップの繽果盒子は同年9月から人員整理に着手、2019年6月には、最盛時の500人から、5分の1の100人にまで減少しました。2019年を、業務の調整に費やしたと見られます。そして2020年1月下旬、8000万ドルのシリーズB融資をまとめた、と報じられました。

繽果盒子は、無人店は新しい商業の「切り札」との考えを変えていません。人口2万につき1店舗の出店が可能といい、また全国680万のパパママストアへ運営技術を提供するといいます。繽果盒子は、中国的しぶとさには恵まれた会社のようです。無人コンビニは、武漢市の都市封鎖時にとても役立ちました。再び流れの上向く可能性はありそうです。いずれにせよこの1～2年が勝負でしょう。

中国のカーシェアリング業界は2015年に、実質的なスタートを切ります。そして2017年には765億元（1兆1700億円）もの資金を調達し、シェアエコノミーのトップを占めました。無人コンビニと全く同じ経過をたどりました。しかし2018年には減少に転じ、2019年には谷底に落ち込みます。

そしてシェアサイクル同様、保証金の未返還や“廃棄自動車”の山が、社会問題に発展しています。有力企業だった途歌（TOGO)は、全部の保証金は返せない、と開き直っています。2018年9月の返還申請が、2020年になっても実行されていません。自転車（ofo）の99元（1500円）にくらべ、途歌の保証金は1500元（2万3000円）と10倍のため、影響は大きいです。

現在、33の企業が活動しています。北京だけで13社もあります。2019年末のユーザー数上位は下記の通りです。

Gofun－235.6万人
EVCARD－115.4万人
聯動雲租車－42.3万人
摩范出行－27.4万人

他はいずれも10万人に満たないです。トップのGofunは2019年10月、戦略発表会を行い「Gofun　Connect」と名付けた“自動車OEMシステム”を発表しました。パートナー企業とともに自動車産業の再構築を目指すといいます。

無人コンビニは、無人テクノロジーにこだわり過ぎました。現在コンビニ業界の成長株「便利蜂」は、商品とサービス内容にこだわって高成長しています。またパパママストアを狙うという戦略は、アリババ、京東、蘇寧などの大手と変わらず、うまくいく保証はありません。

カーシェアリングは、配車アプリ、無人運転テクノロジーなど、モビリティ革命の進行する中、自分たちの定位置を見いだせていません。生き残るのは、しっかりと将来の構図を描いているGofunのような上位社のみでしょう。

それはともかく、日本は、中国のイノベーションへ賭ける情熱に、とてもかないません。この現実はしっかり見据えなければならないでしょう。