中国のICPって何?
ICPとはInternet Content Providerの略だ。中国ではインターネットサイトはすべて許可制となっており、ウェブサイトを開設するにはICP登録が必要だ。ICP登録は中国政府が2005年から開始したウェブサイトの審査制度であり、全てのサイトに対して登録が義務づけられている。ちなみに、百度のトップ画面下には「京ICP证030173号」の表記があり、これがICP許可番号ということになる。
(出典:https://www.baidu.com/)
ICPを申請しないとどうなるのか
申請しないでウェブサイトを開設してしまうと運営サイトは即停止処分となるだけでなく、サーバーの没収、ホスティング企業との取引禁止、更には罰金処分となる場合がある。このように、中国でICP未取得のウェブサイト公開は違法となるためだ。
2種類あるICP登録
ICP登録には経営性ICPライセンスと非経営性ICP登録がある。経営性ICPの取得が必要になるのは物販サイト、オンラインゲーム、有料情報サイト、広告収入を出しているサイトなどである。直接的な収益があるかが判断基準となるのだ。
一方、非経営性ICPは国内向けの会社案内ホームページや商品サービスを案内するサイトで、収益を出すことができないライセンスとなっている。経営性ICPと非経営性ICPでは許可申請の方法も違う。いずれにしろ、サイト申請には事前審査が必要であり、中国政府機関による審査をパスしなければICPライセンスを取得することができない。
ICP登録をするには中国に法人がある事が前提条件となる。そのため外資系企業単独でのウェブサイト開設は非常に困難である。例外的に外資参入規制等の制約を受け入れれば可能な場合もあるが、多くの条件をクリアしなければならない。
サイトへの規制強化
2016年3月からは「ネットワーク出版サービス管理規定」という法律が施行されている。これは、デジタルコンテンツのインターネット配信や販売に関する規定であり、例えば以下のようなデジタルコンテンツが対象となる。
・書籍、新聞、雑誌等のデジタル版
・芸術、文学、化学領域のオンライン文献データ
インターネット上でコンテンツ配信をする為には、この管理規定内の「インターネット文化経営許可証」を取得することが義務づけられており、配信に必要なインターネットサーバーを含む全ての設備を中国国内に置くことが前提条件となっている。
「外商投資産業目録」では、外資企業や現地の合弁企業によるコンテンツ配信が禁止されている。こういった外資参入規制を設けることにより、外資単独での参入をブロックしているのだ。外資系企業が中国でビジネス展開するには複数の機関による許認可が必要となる。多くの企業が中国進出をためらうのはそのためだ。
(出典:https://www.clara.jp/wp-content/uploads/2016/02/20160301_netpublishingregulation_claraonline.pdf)
2017年6月には新たに中国サイバーセキュリティー法が施行された。この新たな法律により、外資系企業はすべてのデータセンターを中国国内に置かなければならなくなった。
(出典:https://www.sp-network.co.jp/column-report/spneye/candr20016.html)
2018年も中国国内のインターネットは引き続き厳しい状況ではあるが、中国でウェブサイトを開設する必要があるならICP登録はもちろんのこと、数々の規制についても理解しておこう。