微信(WeChat)とQQ?今の若者がよく使うのはどっち?
多くの方が知っているように、QQと微信(ウィチャット)はどちらも腾讯(テンセント)傘下のインスタントメッセンジャーソフトだ。今回はQQと微信のうち若者がよく使うのはどちらのSNSなのかということに焦点を当てたい。
QQと微信
QQは、腾讯が1999年2月に自社開発したインスタントメッセンジャーツールで、始めのうちは1996年に開発されたICQを模倣して名称をOICQ、意味は「opening I seek you」としていた。
中国でも80年代生まれの若者はまだこのOICQという名前の印象があるはずだ。しかし、その後権利侵害を指摘され、腾讯社長は名前をQQに改めたのだ。これが現在私たちのよく知っているQQである。微信より前からQQは存在していたのだ。
一方、微信は腾讯から2011年1月21日、スマート端末向けにインスタントメッセージサービスを提供するソフトとしてリリースされ、腾讯に依存しながら瞬く間に人気は上昇した。
2016年第二期(4月~6月)までに、微信は中国の94%以上のスマートフォンに浸透し、月間アクティブユーザー8億人に達したのだ。その後順調に成長し、2018年には10億を超えるユーザーが利用するようになった。
小米(シャオミ)が2010年12月10日にリリースしたSNSに米聊(ミーリャオ)というものがある。微信と比較すると、両者の機能はよく似ているものの、今となっては米聊を利用している若者は皆無だ。
(出典:https://zh.wikipedia.org/w/index.php?title=Qq&variant=zh-cn)
若者に人気なのはどちらか
微信とQQはどちらがより若者に支持されているのだろうか。2015年までのデータを見てみよう。QQユーザーの内、90年代生まれが39%を占めて第1位、80年代生まれが32.9%で第2位、2000年以降に生まれたアクティブユーザーは11.3%だった。
(出典: http://finance.chinanews.com/it/2014/10-24/6711890.shtml)
その他、微信の2017年9月までのデータによると、微信のひと月あたりの中高年ユーザー(55歳~70歳)は5000万人、1日に380億件のテキストメッセージ、61億件の音声メッセージのやり取りがある。
この微信に関する2つの数字を2016年と比較すると、それぞれ25%、26%上昇していることになるのだ。1日の通話回数に至っては2億回を超えており、前年比106%増となる。微信の恐るべき成長スピードが分るだろう。
(出典:http://www.sohu.com/a/203522467_238386)
また、データを見て分かるように、QQの低年齢化に対し、微信は中高年にも利用されている。これはなぜなのだろうか?もともとQQと微信は本来、成長戦略において、大きく隔たりがあった。この成長戦略の違いが原因と考えられる。
QQは学生のチャットツールのような立ち位置で、身分証や電話番号がなくても登録可能だった。一方の微信は携帯電話番号がアカウントとなるため、中高生以下の若者にはなかなか普及しなかったのだ。
QQは加算式プラットフォーム
多くの機能を追加していくQQは加算式のプラットフォームといえるかもしれない。1つのシリーズとしてQQはこれまで商品価値を高めてきた。例えばQQ空間、QQ会員、QQペット、QQゲームなどは、QQ番号と連動したサービスの一部だ。
(出典:http://pet.qq.com/)
若年層の多くは学生だが、彼らはQQ空間のチャットに熱中しており、これが大きなユーザー数の定着をもたらしているのだ。一方、教師もQQグループの中で宿題を出す機能を利用することができ、学生とのコミュニケーションを取ることができる。また社会人でもQQのファイル転送機能やリモートサポート等の機能が利用できるのだ。
その上、微信の一部機能はほぼ同等のものがQQで利用できる。そのため、QQは微信よりも多機能で、多くの若者や大人を取り込んでいったのだ。
微信は減算式プラットフォーム(ミニマリズム)
QQが加算式とすれば、微信は減算式だ。微信が追求するのはミニマリズムといえるだろう。多くのバラエティに富んだ機能を必要とせず、最も基本であるコミュニケーション機能とプライベートを保証されればよいというコンセプトだ。そのため、ゲームなどの若者が喜ぶ要素が必要ない中高年が利用するには、微信の方が取り回しが良いのである。
QQの利用にはQQ番号の登録が必要となり、多くの複雑な機能を勉強しないといけない。こういった複雑な機能は中高年にとって負担となる。微信はどうだろうか?スマートフォンとデータ通信環境さえあれば、ショートメールや電話を簡素化されたインターフェイスから利用できる。微信の分かりやすい設計は、中高年のニーズにマッチしているのだ。
次に、微信のもう一つの特徴は、公式アカウントや微信モーメンツ中の文章である。多くの微信上の文章は中高年からも支持を得ている。一方で若者のクリエイティブで自然な思考を刺激するコンテンツもあり、ひとつのマーケティングツールとして確立されているのだ。
微信は個人データを管理する上で役立っている。中国では病院の予約や出勤記録、さらにはカスタマーサポートまでを微信によって行うようになっており、まさに多くの人にとって微信は生活に欠かせないツールなのだ。
今となっては微信アカウントがなければ生活に支障をきたすこともあるくらいだ。このように、微信は社会のインフラに標準化されたことによって、10億のアクティブユーザーを集めることができたのだ。もちろん、微信支付(ウィチャットペイ)の存在も無視できない。
いずれにせよQQ、微信の両者はすべて腾讯のソフトだ。腾讯のソフトはプライバシー保護の観点からすれば完璧でこそないものの、中国におけるチャットツールとしてはやはり使い勝手がいい。遅延もなくリアルタイムに連絡が取れる。そして何よりも大切なのが、富裕層も含め多くの消費生活力のあるユーザーが微信を使用しているということだ。