あなたが知らない中国人の面子10のこと
「中国では命より面子が大切」というのはよく知られた話かもしれない。ときには自分の恋人、友人、上司よりも自分自身の面子を優先するというのを聞いたことはないだろうか。その面子についての考え方は中国人の人生観、恋愛観、消費行動等に色濃く反映されている。
今回はその面子についてフォーカスし、中国文化の特徴についてまとめた。いかに述べるのはあくまで個人的な見解で、すべての場合でそのとおりであるという意味ではない。
目次
1.そもそも面子とは?
中国人が面子を大切にすることを知っていても、その面子について説明できる人は意外に少ないかもしれない。彼らの大切にする面子とは、自身の財力や能力に対する世間からの評価をより良く保ち、それを傷つけないことだ。至極かんたんに説明するとそうなる。しかし、これが中国人の社会性や文化と複雑に絡み合って物事を複雑にすることがある。
2.中国人の恋愛観
中国人の恋愛観においてやはり重要視されるのが面子だ。男性であれば、美人でおしゃれな女性を好んで選ぶ傾向がある。女性であれば、男性を選ぶ際に容姿より収入を優先する場合もあるようだ。
また男性が年上であることが多いようで、年下の女性からアプローチをするというケースはめずらしいと言う人もいる。こういった側面からも、恋愛において中国人が面子を大切にする部分が垣間見える。
3.中国人の結婚観
当然、結婚観においても面子は重要だ。男性は面子のため若い美人を、女性はより収入の多い男性を配偶者として好む傾向がある。男性は自身と結婚相手の面子を保つためにそれなりの住宅が必要である。
日本も似ているかもしれないが、女性の学歴、収入が高すぎると結婚が難しくなる。キャリアウーマンと呼ばれ敬遠されることさえある。女性が男性の月収を上回っていれば男性側の面子の確保がむずかしいためだ。女性の要求も自ずと多くなる。こういった事から、面子を大切にする彼ら特有の悩みもあるのだ。
4.中国人の仕事観
中国人に人気のある職業は言うまでもなく面子を保つことのできる職業だ。経営者や管理職のような権力のある職業で医者や教師、いわゆる先生と呼ばれるような、他人から尊敬をされる職業は人気のある職業だ。
国家のために働く公務員も、給料が良いだけでなく名誉ある仕事として人気だ。こういった仕事は周りから一目置かれるため、多くの人が追い求める。よって、倍率が高くなる。
中国人には起業家が多い。中国には昔から、「天から石が降ってきたら社長にあたる」といった風刺的な含みのある言葉が存在する。それほど多くの人がトップになりたがるのだ。新しい事業ばかり乱立して、結果、競争が激化する。
年代によって好む職業に違いはあるものの、ここでも面子は重要事項のひとつだ。管理職とは反対の単純作業や現場作業員等は人気のない職業である。夫婦共働きの比率も高く、そのため男性と女性が対等に評価される。「かかあ天下」とはまた違った意味で女性の権力が強い。もちろん、地域によって風土が異なるため一概には言えないが、日本ほど亭主関白が多くない。
5.中国人の子育て観
中国人はよく謝らないといわれる。これも面子を重視した子育てが行われるためかもしれない。子供達はいつも「人前で恥をかくな」と教え込まれ、食事の時から寝る直前まで徹底され、子供たちのDNAに刻み込まれるのだ。
日本には「すいません」という便利な言葉がある。このいわゆる「すいませんの文化」が本当の謝罪とそうでない場合を不明確にしているのかもしれないが、中国人は日本人ほど頻繁に謝罪の言葉を使わない。そのため、中国人が「対不起」というときは本当に謝罪しているということが分かるのだ。
連綿と続く彼らの面子教育は日本人からすると、ある意味独特で、私たち日本人の謝る文化(自身に非はなくても相手を思いやって謝る)とは反対の文化と言えるかもしれない。
2015年まで続いた一人っ子政策により極端に子供を重視する家庭が増えた。その結果、謝らないのではなく、だんだん謝れなくなってしまった子供がいるのだ。こういった日本と中国の文化の違いを受け入れていかなければ、中国ビジネスをスムーズに行うのは難しいだろう。
6.中国人の贈り物
中国人どうしでの贈り物も、プレゼントをする相手への間柄やシュチュエーションによって、当然マナーが存在する。それらを理解した上で根底にあるのはやはり面子である。
日本人がプレゼントを考える時に考えるのはもらった側が喜ぶかどうかだが、彼らが考えるのはもらった側のことではなく、第三者への面子だ。プレゼントをした側、プレゼントをもらった側の面子を保つことのできる、高価で見栄えの良いプレゼントが好まれるのだ。それゆえ、贈り物は1つではなく、2つ、3つ、それもかなり高価なものになることがある。
贈り物をするタイミングもそうだ。2人だけの秘密ではなく、いわゆる公開プロポーズのような、友人達の前で派手に渡すのが好きな人もいる。彼らにとって贈り物は面子を保つための一つの手段なのかもしれない。
7.中国人の買い物
ものの良し悪しは関係ない、とまでは言わないが、ここでも重視されるのは面子だ。同僚がタブレット端末を使っていれば、それと同等の見栄え(性能ではなく見栄えがポイント)のタブレット端末を購入する。
見栄えが重要なので、性能だとかOSの種類は二の次になる場合がある。この面子心理を利用して上手な商売をしているのが自動車メーカーだ。中国仕様のモデルはエンジンは小さく装備は簡素でも、外観はフラッグシップ並みの大きさで、メッキパーツでデコレーションした車が多い。
小さくハイセンスな商品よりも大きく立派な商品開発。これが中国人の心をつかむ一つの奥義なのだ。隣の人がベンツを買えばベンツを買うし、BMWならBMWで面子をキープといった具合だ。結果、中国都市部の路上はベンツだらけ、BMWだらけになる。実際、中国の公道には高級車が多すぎて日本のように驚かない。
8.中国人の考えるおもてなし
中国人はお客様をもてなす際は全力だ。大切な面子をかけてなのだから当然なのかもしれない。料理は当然中華料理だが、これには理由がある。フランス料理や日本料理は高級になるほど盛り付けが繊細になるが、テーブル上の見栄えには変化はない。一方の中華料理は高級になればそれに比例してテーブル上の彩りは派手になる。
そんな理由から、おもてなしの料理もテーブルいっぱいの目で見てわかる豪華な中華料理をチョイスする。場合によってはテーブルのお皿を二段重ねにしてまでも料理を置こうとする。もてなす料理の豪華さと量は彼らの経済力のバロメーターであり、すなわち面子を保つためには重要な要素なのだ。
9.爆買いも面子が大事?
記憶に新しい中国人の爆買いだが、この中には面子買いも含まれていたことはあまり知られていないかもしれない。よく考えると、純粋に自家消費のみで爆買いする必要はまったくないのである。
例えば彼らが大量に購入していた小袋のお菓子だが、旅行に来た本人達が友人に配るものだけでなく、その両親が面子のために、両親の友人に配る分も含まれていることがあるのだ。
10.中国人の面子をつぶさないためには?
中国人の面子をつぶすとどうなるかだが、当然うらまれる。それなりの報復も受けるかもしれない。当然だが面子を重視する人は人前で叱責されるのを嫌う傾向がある。人前で自身の能力不足は認めない人も多い。
自分の非を認めないことがあるかもしれない。日本人ほどすぐには折れないので、衝突する事があるかもしれない。しかし、この辺りは理解しながら付き合うのが得策である。また、彼らの努力や誠意は迷わずに褒める必要がある。
彼ら行動の多くは面子を確保するためのものだ。高額なプレゼント、豪華なもてなし料理などが面子を確保するために用意されたものなら、これらの誠意をたたえる必要がある。そうすることで彼らの面子を保つことができるためだ。
最後に
意外と知られていない中国について、面子の文化にフォーカスしてまとめてみた。年代差や地域差が存在するため一概には言えない。しかし、中国人を相手にビジネスをすることを考えた場合、少なからず日本人とは勝手が違うので、ビジネスをスムーズに行うために参考にしておきたい部分である。