日本でWeChat Payが使えるお店まとめ
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WeChat Pay、“中国版LINE”を通じて口コミ客やリピーター獲得を狙う
中国の電子決済サービス・WeChat Pay(ウィーチャットペイ、微信支付)。日本でもこれに対応する店舗が増加している。訪日中国人客の増加を受け、2016年ごろから中国人旅行客が多く訪れる空港や百貨店を中心に導入が進んでいる。
WeChat Payは、“中国版LINE”といわれるWeChat (ウィーチャット、微信)のアプリ上で、ワンタイム(一時利用)のQRコードを使って店舗への支払いや、個人間送金などができるサービスだ。これらのモバイル決済サービスが普及することで、中国社会では急速にキャッシュレス化が進んでいる、
日本の小売店などがWeChat Payを導入するメリットは、スマホを用いた中国人客の決済手段に対応すること。また、中国国内でLINEのようにコミュニケーションツールとしての地位を確立しているWeChatを通じて、顧客の囲い込みや口コミ拡散につなげることだ。
WeChat Payは中国で約8億人、WeChatは10億人の月間アクティブユーザーを擁するといわれている。日本の小売店もWeChatに公式アカウントを開設すれば、日本で商品を購入した中国客に対して、彼らの帰国後も継続して新製品や新サービスなどの情報を配信することができる。こうした取り組みでリピート客の増加や、ユーザー間の口コミを通じた新規客の獲得に繋げたい考えだ。
「WeChatフラッグシップショップ」となったドン・キホーテの取り組み
日用雑貨品・食品などを扱うディスカウントチェーン、ドン・キホーテは2017年7月までに、全国の37店舗でWeChat Payでの決済を導入した。買い物の際、WeChat Payで支払うと、ユーザーは自動的にドン・キホーテのWeChat公式アカウントのフォロワーになる。この公式アカウントを通じ、ユーザーは継続的に関連情報を受け取るほか、問い合わせもすることができる。また、日本からの海外発送に対応する越境ECサイトへの誘導も仕掛けられている。サイトはもちろん多言語対応だ。
2017年6月期本決算連結資料によると、同社の2016年7月1日~2017年6月30日までの中国の免税構成比は、客数が約30%、売上高が約42%、客単価は国内平均の約6.4倍と、中国人による買い物が全体の売上高に少なくない比率を占めていることがわかる。これを受けてドン・キホーテは、スマホ決済の導入で少額決済の増加を見込んでいるほか、東京の渋谷店、新宿東口店、大阪の道頓堀御堂筋店の3店舗に関しては、「WeChatフラッグシップショップ」として重点的に情報を発信している。
WeChat Payのメリット=顧客側は利便性、小売り側はPR力
中国人買い物客による日本国内での支払い方法で浸透しているものにはほかに、中国銀聯によるデビットカード・Union Pay(ユニオンペイ、銀聯カード)がある。
一方で、日本の空港や百貨店などが相次いでWeChat Payを導入する背景には、何があるのだろうか。WeChat Payを利用するユーザーにとってのメリットは、銀聯カードに対し、手数料がかからないことや、日本国内で決済する際には、日本円価格を人民元に換算した金額がスマホ画面に表示されるなどの点にあるといわれる。
売り手側のメリットとしては前述のとおり、WeChatを通じて集客に向けた継続的な取り組みを実施できることがある。WeChat Payを提供する中国のIT企業・テンセント(騰訊控股)では、中国人観光客に人気の地域や店舗を対象にWeChat Pay対応を強化する「WE Plan」なる取り組みを発表しており、WeChat Pay導入だけではなく、WeChatなどを活用したマーケティングや販促もサポートしていく方針だ。
世界で普及するWeChat Pay、サービス競争過熱も
テンセントがWeChat PayやWeChatを通じて訪日中国人観光客の消費を取り込もうとする動きに連動し、日本企業の取り組みも増えてきている。
飲食店情報サイト・ぐるなびでは、タブレットなどを使ったマルチ決済サービス「ぐるなびPay」の導入を自社の加盟飲食店に働きかけているという。1台のタブレットでWeChat Payをはじめ、各種モバイル決済やクレジットカード、将来的には仮想通貨のビットコイン、自社ポイントなど複数の決済方法に対応できるようにし、2020年までに5万店の導入を目指す計画だ。
海外に目を向けると、中国人観光客に人気のシンガポールや米国などでもWeChat Payによるスマホ決済への対応が進んでいる。テンセントとシンガポール政府観光局は、同国の統合リゾート施設マリーナベイ・サンズでスマホを振ると、16ブランドの割引きクーポンが受け取れる仕組みを取り入れたという。
こうした流れを受け、日本の主要な小売や飲食でもWeChat Payを中心とする決済、情報配信、ポイント、割引きなどのサービス競争が進んでいくとみられ、WeChat Payを巡る国境を越えた中国人物客の奪い合いは今後一層過熱しそうだ。
日本でWeChat Payを導入する主な店舗
百貨店:小田急百貨店、近鉄百貨店、東武百貨店
空港:関西国際空港、中部国際空港セントレア
家電量販店:ビックカメラ、ヤマダ電機、エディオン、上新電機、ラオックス
ドラックストア:ココカラファイン、サンドラッグ、ツルハグループ