
LinkedIn InMailとは?営業・マーケティング活用法と返信率を高める書き方を徹底解説
この記事でわかること
- LinkedIn InMailの仕組みと料金制度
- InMailの営業・マーケティングでの活用法
- InMailで返信率を高める文章作成のコツ
LinkedIn InMailとは、つながりのない相手にも直接メッセージを送れるLinkedInの有料機能です。通常メッセージとは異なり、意思決定者や見込み顧客へダイレクトにアプローチできるのが特徴です。
本記事では、InMailの仕組みや料金体系、営業・マーケティングにおける活用法、そして返信率を高める文章の作り方を詳しく解説します。
目次
1.LinkedIn InMailとは?
通常メッセージとの違い
LinkedInの通常メッセージは、自分と直接つながっている「1次のコネクション」にしか送ることができません。そのため、新しい顧客や意思決定者に直接アプローチしたい場合、まず接続リクエストを送って承認を得る必要があります。
一方、InMailはプレミアム会員向けに提供される機能で、つながりのない相手にもダイレクトにメッセージを送信できます。件名を付けられるため開封率を高めやすく、さらに開封や返信データを分析できるのも特徴です。
営業やマーケティングにおいて「まだ出会っていないターゲット」にアプローチするための、強力なコミュニケーション手段といえます。
利用できるプランと料金(クレジット制)
LinkedIn InMailは無料会員では利用できず、LinkedInの有料プランでクレジット制として付与されます。
例えば、Premium Careerでは月5通、Premium Businessは月15通、営業向けのSales Navigatorでは月50通といったように、プランに応じて送信枠が異なります。1通送るごとにクレジットを消費し、上限を超えて利用したい場合は追加購入も可能ですが、1通あたり約10ドルとコストがかかります。
なお、90日以内に返信があった場合はクレジットが返却される仕組みもあり、内容を工夫して相手の反応を得ることが重要です。
限られた枠をどう活用するかが成果を分けます。
2.営業でのLinkedIn InMail活用法
リード獲得の初回アプローチ
新規顧客への最初の接点としてInMailを活用することで、従来の飛び込み営業やメールでは届きにくい層に直接アプローチできます。
特にBtoB営業では、購買の意思決定者や部門責任者とつながる前に「情報提供」や「業界課題への共感」を切り口に送ると効果的です。
いきなり自社商品の売り込みをするのではなく、相手にとって有益なレポートや業界動向を提示し、会話のきっかけを作ることが成功の鍵です。
返信が得られれば商談に繋がる可能性が高まり、初期段階のリード獲得に大きく貢献します。
意思決定者への直接アプローチ
多くの営業担当者が苦労するのは、企業内の「決定権を持つ人物」への到達です。InMailを使えば、秘書や担当窓口を介さずに意思決定者本人へ直接メッセージを届けられます。
LinkedIn上の職務情報や役職データを活用すれば、ターゲット企業の経営層やマネージャーに狙いを絞ることができます。
ただし、相手は日々多くの営業連絡を受けているため、パーソナライズされた内容や、相手の課題に即した具体的な提案を心がけることが不可欠です。短いながらも価値を伝えるアプローチは、競合との差別化につながります。
商談機会を増やすための継続的な接触
一度のInMail送信で即座に商談に至るケースは少なく、継続的な接触が重要です。
InMailを送った後に返信が得られなかった場合でも、相手の投稿に反応したり、業界イベントの情報を共有するなど、段階的な関わりを続けると信頼が蓄積されます。
LinkedInの仕組み上、返信があるまで同じ相手に追加のInMailは送れませんが、タイミングを見て接続リクエストや別チャネルでのフォローアップを行うのが有効です。「一度の送信で終わらせない」という姿勢が、商談につながる確率を高め、長期的な関係構築にもつながります。
3.マーケティングでのLinkedIn InMail活用法
イベント・ウェビナーへの集客
InMailは、ターゲットとする業界のキーパーソンに直接イベントやウェビナーの案内を届けられるため、集客施策として非常に有効です。
通常のメール招待と比べてLinkedInというビジネスプラットフォーム上で送られるInMailは信頼性が高く、開封率も高まります。
特に「限定」「特別招待」といった要素を盛り込むと、参加意欲を引き出しやすい傾向があります。また、対象を細かく絞り込めるため、無関心層への無駄打ちを避け、参加の見込みが高い層に効率的にリーチ可能です。
ホワイトペーパー・資料DLの訴求
リード獲得のためにホワイトペーパーや業界レポートのダウンロードを促す際、InMailは効果的なチャネルです。
単なる広告や一斉メールではなく、個別のメッセージとして「御社に役立つ最新データを共有します」と伝えることで、受信者はより関心を持ちやすくなります。
InMail内にダウンロードリンクや登録フォームを組み込むと、コンバージョンまでをスムーズに導けます。
さらに、相手の業界や役職に合わせて内容を最適化すると、単なる宣伝ではなく有益な情報提供として受け止められるのが強みです。
ABM(アカウントベースドマーケティング)での活用
ABMの取り組みでは、特定のターゲット企業に対して個別最適化したメッセージを届けることが重要です。その点InMailは、ターゲット企業の意思決定者にダイレクトかつパーソナライズされた情報を提供できるため、ABM戦略と非常に相性が良い手法です。ABM戦略は、「特定の企業(アカウント)」をターゲットとして、その企業ごとに最適化したマーケティングや営業活動を行う戦略です。
たとえば「御社の最近の取り組みに関連する成功事例をご紹介したい」といった形で、相手に合わせた価値を提示すれば、通常の広告よりも高いエンゲージメントを得やすくなります。
少数精鋭の企業群に集中投資するABMでは、InMailが有効な接点となります。
4.InMailの送り方と効果的な文章の作り方
適切なターゲットを絞り込む
InMailはクレジット制で送信数に限りがあるため、対象を正確に絞ることが成果の鍵です。
LinkedInの検索機能やSales Navigatorを活用すれば、業界・役職・企業規模・地域など多角的な条件で見込み顧客を特定できます。
特に意思決定権を持つ層に絞り込むことで、無駄打ちを減らし投資対効果を最大化できます。
相手に合わせて内容をカスタマイズする
InMailはテンプレートを一斉送信するよりも、個別にカスタマイズすることで大きな成果を得られます。
相手のプロフィールや投稿内容を事前に確認し、共通点や関心事に触れる一文を加えると効果的です。
「御社の〇〇の取り組みに感銘を受けました」のように相手の状況を踏まえた言及があると、誠意が伝わり返信率が高まります。
短く要点を伝える文章にする
長すぎるメッセージは読み飛ばされやすいため、簡潔に要点をまとめることが重要です。
理想は3〜5段落、合計500〜800文字程度で、最初の数行で「なぜ連絡したのか」「相手にとっての価値は何か」を明確に示します。
冗長な自己紹介や説明は避け、読者の時間を尊重する姿勢が信頼につながります。
開封されやすい件名をつける
InMailには件名を設定できるため、ここで興味を引けるかどうかが開封率を大きく左右します。
件名は短く具体的にし、営業色を強く出しすぎないのがポイントです。
「〇〇業界の最新調査結果をご共有します」など、相手の関心や課題に即した内容を示すと開封率が高まります。誇張表現や曖昧な表現は逆効果です。
明確な行動喚起を入れる
メッセージの最後には、次に取ってほしい行動を明確に提示します。
たとえば「15分ほどオンラインでお話しできれば幸いです」「こちらのリンクから詳細をご確認ください」といった具体的な指示があると、相手も動きやすくなります。
あいまいに終わるのではなく、行動につながる一文を添えることが成功率を高めます。
適切なタイミングで送りフォローする
送信のタイミングも成果に影響します。一般的に火曜〜木曜の午前や終業前の時間帯は反応が良いとされます。
また、一度送った後に反応がなければ1週間程度を空けて接続リクエストや他のチャネルでフォローアップするのが有効です。
ただし、しつこさは逆効果なので、控えめで誠実なアプローチを心がけることが大切です。
ポイントを抑えたInMailで送るメッセージの例文
例文を用意しておくと実践で活用しやすくなります。営業向けなら「〇〇の課題を解決する方法を共有させてください」、マーケティング向けなら「〇〇業界向け無料レポートをお届けします」といったシンプルかつ価値提供型の文章が効果的です。
件名・冒頭・価値提案・CTAを盛り込み、短く要点をまとめた例文を準備すると、チーム全体で活用しやすくなります。
営業向けの例文
件名:製造コスト削減の最新事例を共有させてください
本文:
はじめまして。〇〇株式会社の田中と申します。
御社の製造工程に関するご投稿を拝見し、大変参考になりました。
当社では製造業向けにコスト削減を支援するソリューションを提供しており、直近では同業の△△社様で20%の削減実績が出ています。
もしご関心があれば、10分ほどオンラインで概要をご紹介させていただけませんか?
マーケティング向けの例文
件名:ウェビナー共催のご提案について
本文:
〇〇株式会社のマーケティング担当の佐藤と申します。
御社のマーケティング戦略に関する発信を拝見し、特にBtoB分野での取り組みに共感いたしました。
当社では「海外市場開拓」をテーマにしたウェビナーを定期開催しており、もしご興味があれば共催の機会をぜひご相談させていただければと思います。
来月に予定しているイベントについて、15分ほどお打ち合わせ可能でしょうか?
5.InMailのメリット・デメリット
メリット
InMailの最大の利点は、繋がりがない相手にも直接アプローチできる点です。メールアドレスを知らなくてもLinkedIn上で意思決定者にダイレクトに届けられるため、営業やマーケティングで新しい接点を作りやすくなります。
また、受信者にはLinkedIn内通知やメール通知が届くため、開封率も比較的高めです。
さらに、有料プランでは送信結果の分析も可能で、開封率や返信率を把握し改善に役立てられます。適切に活用すれば、従来の電話営業やメールよりも効率的に高品質なリードを獲得できる点が強みです。
デメリット
一方で、InMailは料金がかかり、無料会員では送信できません。
プランごとのクレジット数は限られており、追加購入には1通あたり数百円から千円以上の費用が発生します。
さらに、一度送った相手には返信があるまで再送できないため、フォローアップの柔軟性に欠けるのも難点です。
加えて、営業色の強い内容は「売り込み」と受け取られ、開封されないケースも少なくありません。利用を誤ると費用対効果が低下するため、対象やメッセージ内容を精査し、ここぞという場面で慎重に使う必要があります。
6.まとめ
LinkedIn InMailは、通常のメッセージでは届かない意思決定者や見込み顧客に直接アプローチできる強力な手段です。営業ではリード獲得や商談機会の創出、マーケティングではイベント集客や資料提供、ABM戦略など幅広く活用できます。
ただし、クレジット制による送信数の制限やコストの高さ、返信があるまで再送できない仕様などの制約もあるため、乱用は禁物です。
効果を最大化するには、ターゲットを絞り込み、パーソナライズされた短く要点を押さえた文章を送り、明確な行動喚起を盛り込むことが不可欠です。
LinkedIn InMailを「ここぞ」という場面で戦略的に使えば、通常の営業手段では得られない成果を引き出すことができるでしょう。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。