Linkedinを使ったリード獲得方法を解説|Sales Navigator・広告の活用法も
この記事でわかること
- LinkedInを活用したBtoBリード獲得の基本知識
- Sales Navigatorによる効率的な営業手法解説
- リード獲得に役立つLinkedIn広告フォーマット
BtoBの新規開拓では「どこからリードを見つければよいのか」と悩む企業が少なくありません。テレアポや展示会に頼っても成果は頭打ちになりやすく、費用対効果も限界があります。世界中の意思決定者が集まるLinkedInは、精度の高い検索機能と柔軟な広告配信で注目されています。
この記事では、無料で始められる基本的な施策から、Sales Navigatorを使った効率的な営業手法、さらに広告の活用法までを順を追って解説します。
目次
1.なぜLinkedInはBtoBリード獲得に強いのか
BtoBの新規開拓に取り組むとき、多くの営業担当者が直面するのが「どうすれば意思決定者に効率よくたどり着けるか」という課題です。
LinkedInはビジネス目的で利用されることを前提に設計されており、他のSNSや従来の営業手法と比べても、商談につながりやすい独自の強みを持っています。
ビジネス目的での活用が多いため商談につながりやすいから
LinkedInは仕事の情報収集や協業先探しを目的としたユーザーが大半です。つまり、接点を持つ時点で課題解決を意識しているため、商談につながるまでの障壁が低いのが特徴です。
プロフィールや会社ページ、投稿内容から相手の関心を把握しやすく、初回メッセージでも「なぜ声をかけたのか」を具体的に示すことができます。
さらにドキュメント共有やイベント機能を使えば、資料閲覧から面談までを一つの流れで追えるため、検討の進展を確認しやすい環境が整っています。
詳細な属性データ検索で決裁者にアプローチができるから
LinkedInでは役職、部署、企業規模、地域など営業に直結する条件で検索ができます。
相手の投稿や経歴から「今、重視しているテーマ」を読み取りやすく、提案内容を早い段階から調整できるのも利点です。
決裁者だけでなく実務リーダーや評価に関わる人も可視化できるため、社内の影響関係を踏まえた複数の接点づくりが可能になります。
実際にSNS経由のBtoBリードの80%を占めているから
「SNS経由のBtoBリードの大半はLinkedIn」という指標は長く指摘されています。
一例として、OktopostというBtoB特化のソーシャル運用プラットフォームが2014年に発表した調査によると、数万件以上の投稿を分析した結果、BtoBリードの8割以上がLinkedInから発生し、Twitterは約13%、Facebookは約7%でした。
特に海外営業では、決裁者に直接届きやすく、無料運用からNavigator、広告活用へと段階的に発展させやすい点が強みです。
2.Linkedinと従来の営業手法の違い
従来のテレアポ・飛び込み・展示会・メール施策は「到達量」で勝負しがちでした。LinkedInは「誰に・何を・いつ」の精度を上げ、少ない接点でも会話の質で前進させます。以下の観点で違いを整理します。
この章では、それぞれの手法と比べ、効率と反応、コストとスケール、到達とターゲティング精度の違いに触れ、LinkedInを通年の獲得装置として組み込む考え方を解説します。
テレアポ・飛び込み営業との違い
電話や訪問は接触数を稼げますが、相手の状況をつかみにくく、断られると再接触が難しいのが実情です。
LinkedInでは役職や関心、直近の発信内容を踏まえて声をかけられるため、会話に発展する確率が高まります。
役職変更や新しい投稿を通知する機能を使えば「今こそ連絡すべき理由」を見つけやすく、無差別なコールよりも反応が得やすくなります。
展示会やセミナーとの違い
展示会は短期間で多くの名刺を集められる一方で、その後のフォローが課題です。LinkedInなら告知から参加登録、資料配布、事後フォローまでを同じアカウントで管理でき、温度感の高い相手から優先的にアプローチできます。
単発イベントの出展や移動にかかる費用を考えると、同じ予算をLinkedIn運用や広告に投じた方が通年で成果を積み上げられます。
展示会前後に投稿やDMを組み合わせれば商談化率も向上します。
メール・DM施策との違い
メールはリスト鮮度や到達率に左右されやすい手法です。LinkedInは最新のプロフィール情報をもとに精度の高いターゲティングができ、相手の投稿や役職変更をきっかけに自然な接点をつくれます。
短文で繰り返し打診できるため、タイミングを逃しにくいのも特徴です。
メールは広範囲への浸透に、LinkedInは文脈に沿った精密アプローチに、それぞれ使い分けると成果が安定します。
3.Linkedinで無料でできるリード獲得方法
費用をかけなくても、LinkedInを使えばリード獲得の土台を整えることができます。プロフィールや会社ページを磨き、検索や発信を習慣化すれば、自然に面談につながる接点が増えていきます。
ここでは、実践しやすい6つのステップを紹介します。
1. プロフィール・会社ページを最適化する
見出しには「提供できる価値」と「主要キーワード」を入れることがコツです。概要は、まず「相手の課題」次に「自社の解決策」最後に「実績」という流れで、まとめると伝わりやすくなります。
経験やスキル欄は検索にかかりやすい言葉を整理し、連絡先には相談の導線を設けましょう。
会社ページでは、製品や導入事例、FAQ、資料請求や相談のボタンをわかりやすく配置することが大切です。
投稿は「保存されやすい価値」を意識し、チェックリストや比較表、数値データなどを積み重ねていきましょう。
2. 検索機能でターゲットを探し、つながりを拡大する
無料検索でも「業界×役職×規模×地域」を組み合わせれば、かなり精度の高い抽出ができます。
理想的な顧客像を3〜5パターン定め、検索→保存→申請→フォローを週単位で回すのがおすすめです。
つながり申請の際は「共通点・接触理由・軽い提案」を短く添えると承認されやすくなります。未承認でもフォローやコメントで関係をつないでおくと、後からでも承認される可能性が高まります。
3. つながり申請とメッセージで関係を築く
最初のメッセージでは、相手の直近の投稿や役職変更など「今ご連絡する理由」を冒頭で示すことが重要です。
そこに記事や比較表など小さな役立ち情報を添えると、会話のきっかけが生まれます。
売り込みすぎず、2〜3往復で相手の課題を把握し、そのうえで短い打診(15分程度の面談など)に誘導するのが自然です。未返信でもコメントを続けていれば、後で返答が来ることも多いです。
4. 投稿・情報発信で潜在顧客を引き寄せる
チェックリスト、導入時の比較ポイント、費用相場の目安など「保存や社内共有される内容」を発信すると効果的です。
週1〜2回の定期投稿が理想で、月1回は長文のドキュメントにまとめて資産化すると、資料請求ページ代わりにもなります。
ウェビナーやイベントと合わせて投稿を設計すると、登録から面談までの流れがスムーズになります。
5. グループやコミュニティで信頼を積み重ねる
グループでは自社PRよりも「質問に答える」「事例を紹介する」姿勢が成果につながります。
自社でコミュニティを運営するなら、理想的な顧客像に近い層を対象にし、毎月テーマを決めて続けると信頼が広がりやすいです。
参加時に課題をヒアリングし、そのデータを発信や広告の仮説に生かすのも効果的です。
6. プロフィール訪問者を起点にアプローチする
プロフィールを見に来た人は関心があるサインです。
役職や会社を確認し、優先度をつけてフォローやメッセージを送りましょう。直近の投稿にコメントしてからDMを送ると自然に会話につながります。
週1回の棚卸しを習慣にすれば、逆に相手から声がかかるケースも増えていきます。
4.LinkedIn Sales Navigator(有料)を活用したリード獲得方法
Sales Navigatorは、LinkedInを営業に本格的に生かすための有料ツールです。
検索や保存、通知、InMail、CRM連携といった機能を使うことで「探す→出会う→関係を深める」流れを仕組み化できます。
セールスナビゲーターとは
Sales Navigatorは、BtoB営業向けに設計された専用ツールです。Coreは個人の新規開拓向け、Advancedはチーム活用や分析機能が強化され、Advanced PlusはCRMとの統合に対応します。
料金はCoreが約120ドル、Advancedが約180ドル(いずれも月額、年払い割引あり)、Advanced Plusは見積もりです。
Sales Navigator料金プラン(2025年時点・公式)
プラン | 月額(月払い) | 年額(年払い相当) | 位置づけ |
---|---|---|---|
Core | US$119.99 | US$1,079.88 | 個人の新規開拓の基本機能 |
Advanced | US$179.99 | US$1,679.88 | チーム共有・分析・一部CRM機能 |
Advanced Plus | 見積り | 見積り | 企業向け・CRM埋め込み等 |
※通貨・契約条件・地域により料金は変動する場合があります。
Sales Navigatorでできるようになること
Sales Navigatorは、LinkedInの標準機能では見つけにくい決裁者や企業情報に効率的にアクセスできる営業専用ツールです。
ここでは、Sales Navigatorでできること5点をまとめます。
①高度な検索フィルター
役職や担当機能、企業規模、成長度合い、ニュースなど細かい条件で検索できます。
条件を保存すると、新規一致が出たときに自動通知されるため、常に最新情報を基にアプローチできます。
②リード・アカウント保存
企業や担当者を保存すると、昇進や新しい投稿などの変化を自動で追えます。
通知をきっかけに連絡できるため、自然な接触のタイミングを逃しません。
③アラート機能
保存したリードやアカウントに関連するニュースや役職変更があった場合、自動で知らせてくれます。
「なぜ今連絡するのか」という理由を常に確保できる点が強みです。
④InMail送信
つながっていない相手にも直接メッセージを送れるのがInMailです。
接触理由と相手に役立つ提案を簡潔に伝えると効果的です。反応がない場合は、投稿にコメントして認知を高めたうえで再送すると成功率が上がります。
⑤CRM連携
上位プランではSalesforceやHubSpotと連携でき、リード情報や接触履歴を自動で同期可能です。
チーム全体で情報を共有でき、営業活動の効率化と顧客理解の向上を同時に実現できます。
5.Linkedin広告を活用したリード獲得方法
LinkedIn広告は、狙った役職や企業にピンポイントで情報を届けられるのが特徴です。特に資料請求やウェビナー集客との相性が良く、Navigatorで得た洞察を広告に反映すると効果が高まります。
ここではリード獲得に役立つ代表的な広告の種類を紹介します。
リード獲得に役立つLinkedIn広告の種類
LinkedIn広告は、役職や企業規模など精密なターゲティングをもとに、意思決定者へ直接リーチできるのが強みです。
ここでは代表的な広告フォーマットを紹介し、どの場面で活用すべきかを整理します。
①スポンサードコンテンツ
フィードに自然に表示される広告で、もっとも利用される形式です。
単一画像、カルーセル、動画、ドキュメントなど形式を選べ、記事や資料の紹介、製品デモの案内に適しています。
特にドキュメント広告は、その場で閲覧から保存、ダウンロードまでできるため、見込み顧客に「持ち帰りたい情報」を届けるのに効果的です。
さらに、通常の投稿に近い見た目なので広告色が薄く、読み手が自然に受け入れやすい点も強みです。
②リード獲得フォーム広告
ユーザーのプロフィール情報が自動で入力される仕組みの広告です。入力の手間を減らせるため離脱が少なく、高品質なリードを効率よく集められます。
さらにCRMやマーケティングオートメーションと連携させれば、獲得後すぐにフォロー体制を整えることができ、商談化までのスピードを早められます。
加えて、LinkedInの職務データを活用できるため、記入ミスや不正確な情報が入りにくいのもメリットです。
③メッセージ広告(旧InMail広告)
相手の受信箱に直接メッセージを届ける広告です。イベント招待や資料提案など、個別の行動を促す場面で力を発揮します。
1対1の形式に近いため、相手に合わせた訴求内容を丁寧に設計することが重要です。
配信の頻度やメッセージの温度感を誤ると逆効果になるので、活用場面を絞ると成果につながりやすくなります。特に、関心が高まっているリードに対してタイムリーに送ると大きな効果を発揮します。
④テキスト広告/スポットライト広告
画面のサイドやトップに表示されるシンプルな広告枠です。クリック単価を抑えやすく、予算が限られていても長期的に露出を確保できます。
ブランド認知を高めたり、特定の企業や業界を対象にしたABM施策の補完に活用すると効果的です。
ABM施策とは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング) の略で、特定の企業を狙い撃ちして営業とマーケティングを一体で行う方法です。幅広く集客するのではなく、狙った企業内の決裁者や担当者に集中してアプローチするのが特徴です。
簡潔なコピーと明確なCTA(行動喚起)を添えることで、小さな枠でも強い印象を与えることができます。
6.まとめ
LinkedInは、意思決定者に「適切な文脈で、適切なタイミングで」アプローチできる、BtoBに特化したプラットフォームです。
まずは無料運用で土台を整え、Sales Navigatorで精度を高め、さらに広告で広く届けることで、安定したリード獲得につながります。
展示会やメールと併用しながら、LinkedInを通年で動かす仕組みに育てることが、海外営業の成果を高める最短ルートです。小さく始めて習慣化し、面談から案件化までの流れを継続的に改善していくことが成功への近道となります。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。