
LinkedIn広告の効果とは?BtoBマーケ担当者が知るべき費用対効果と成功事例
この記事でわかること
- LinkedIn広告のBtoB海外営業における効果
- 費用対効果を示す具体的な数値データ
- CiscoやSamsungなど企業別の成功事例
BtoBの海外営業で「質の高いリード」を獲得するには、どの広告チャネルを選ぶかが重要です。中でもLinkedIn広告は、意思決定者に直接届く点で他のSNSと一線を画します。
費用は高めでも、費用対効果(ROI)では優れた成果を生むことが多いのが特徴です。
本記事では、LinkedIn広告の効果や具体的事例、ROIの実態を分かりやすく紹介します。記憶している。
目次
1.LinkedIn広告はなぜBtoBで「圧倒的な効果」を発揮するのか?
「仕事モード」で使われるSNSだから
LinkedIn広告の効果が他SNSと大きく異なる理由のひとつは、ユーザーが「仕事モード」で利用している点にあります。
FacebookやInstagramが日常生活や趣味の情報収集に使われるのに対し、LinkedInはキャリアやビジネスに直結する目的でログインされることが多く、利用者は最新の業界トレンドや業務改善につながる情報を積極的に探しています。
そのため、ビジネス関連の広告は「売り込み」ではなく「業務に役立つ情報」として受け入れられやすいのです。
さらに、ユーザーは実名・顔写真・職歴・スキルなど詳細な情報を登録しているため、広告主は高精度なターゲティングを行えます。海外営業担当者にとっては、無駄打ちを避け、確度の高い見込み顧客に集中投資できるのがLinkedIn広告の大きな魅力です。
意思決定者やキーパーソンに直接アプローチできるから
LinkedIn広告のもうひとつの効果は、他媒体では接触が難しい意思決定者層に直接リーチできる点です。特に経営層や部門責任者といった購買決定権を持つ人材は、他のSNSで広告を目にしてもビジネス目的で行動するケースは少なく、商談化につながりにくい傾向があります。
これに対してLinkedInは、ユーザー層自体に経営層・マネージャー層が多く、購買決定に関わるキーパーソンへダイレクトに情報を届けられます。
実際、B2Bリードの80%がLinkedIn経由という調査結果もあり、FacebookやX(旧Twitter)を大きく上回ります。海外営業に携わる企業にとって、ターゲット企業の意思決定者に広告を確実に届けられるのは大きな武器であり、他媒体では得られない圧倒的な効果を発揮します。
2.自社のターゲットはLinkedInにいる?向いているビジネスと判断基準
自社がLinkedIn広告が適しているかのチェックリスト
LinkedIn広告の効果を最大化できるかどうかは、自社のターゲット属性によって大きく左右されます。もし次の項目に当てはまるなら、LinkedIn広告はきっと力を発揮してくれるはずです。
- ターゲットが明確に描けるか
「製造業の情報システム部長」など、業種・職種・役職レベルで顧客像が具体的に定義できているか。 - 意思決定者に直接届けたいか
部長や経営層など、購買の最終判断をするキーパーソンにアプローチする必要があるか。 - 企業規模や海外展開がマッチしているか
大企業やグローバル企業を相手にしており、LinkedIn利用層と親和性があるか。 - 1件あたりの売上が大きいか
高単価・高LTVの商材で、広告投資を回収できるだけの利益が見込めるか。 - 体制が整っているか
広告の運用ノウハウや、獲得リードをすぐにフォローできる営業・マーケの仕組みがあるか。
これらに当てはまるほど、LinkedIn広告の効果は大きくなります。
逆に、誰でも買えるような幅広い消費財や、低単価サービスを扱っている場合は費用対効果が合わず、期待した成果につながらないかもしれません。だからこそ、自社が「質の高いリードを必要としているかどうか」を見極めることが、最初の大切な一歩なのです。
向いている業種
LinkedIn広告は特に高単価で専門性の高いBtoB商材との相性が良いです。例えば、SaaSやクラウドサービスなどのITソリューションは導入に複数部門が関与するため、意思決定プロセスを意識した広告配信が効果を発揮します。
また、コンサルティングや士業サービスは「専門性」や「信頼性」が重視されるため、LinkedInでのブランディングやリード獲得に適しています。さらに、人材・採用関連サービスや企業向け研修・教育ビジネスもLinkedIn広告との親和性が高く、他媒体では出会えない層に効率的にアプローチできます。
海外営業に取り組む企業がエンタープライズ層(大企業や大規模組織を対象とした市場や顧客層)を狙う場合、LinkedIn広告は非常に有効な選択肢になります。
向いていないケース
一方で、LinkedIn広告が効果を発揮しにくいケースも存在します。
例えば、日用品やアパレル、食品など一般消費者向け(BtoC)商材はLinkedInのユーザー層や利用シーンとマッチせず、クリック率やコンバージョン率が低迷しがちです。また、単価が数千円程度の低価格商材では、CPCが数百円〜1,000円を超えるLinkedIn広告では採算が合いません。
さらに、弁護士や医師などLinkedIn利用が少ない業界を狙う場合、広告の配信量が十分に確保できずROIが悪化します。海外営業担当者が検討する際には、自社のターゲットがLinkedInを使っているかを必ず調査することが重要です。
高単価BtoB商材で成功しやすい理由
LinkedIn広告は特に高単価BtoB商材で効果を発揮します。その理由は、1件あたりのリード価値が高く、CPCが高くてもROIを確保しやすいからです。
例えば、数百万円規模のソフトウェア契約や年間契約型サービスでは、仮に1件あたり数万円の獲得費用がかかっても十分にペイします。また、導入には複数のステークホルダーが関与するため、LinkedInの詳細なセグメント設定で社内の複数部門に一斉アプローチできる点も効果的です。
さらに、BtoBの購買プロセスは長期戦が多いため、広告接触後もナーチャリングで関係を育てやすいLinkedInの特性が活きます。海外営業の現場で「質の高い商談機会」を増やすには最適なチャネルといえます。
3.費用対効果(ROI)はどれくらい?具体的な数字で見る効果
CTR・CVR・CPCの目安
LinkedIn広告の効果を正しく理解するには、主要指標の傾向を押さえておくことが大切です。平均CTRはフィード広告で0.44%前後と他SNSより低めですが、クリックするのは関心度の高いプロフェッショナル層に限られるため、リードの質は格段に高いのが特徴です。
CPCは世界平均で800〜1,200円、日本国内の事例でも500円台が一般的でFacebook広告の数倍に達します。一方CVRは平均6〜7%と高く、LinkedInのリード獲得フォームを使うと10〜15%まで向上するケースもあります。
つまり「クリック単価は高いがリード質と成約率でROIが合う」のがLinkedIn広告の効果の本質であり、海外営業担当者にとっては少数精鋭の商談獲得に最適なチャネルです。
YouTube広告やFacebook広告との費用対効果の比較
他媒体との比較でも、LinkedIn広告の効果は際立ちます。Facebook広告はCPCが数十円〜数百円と安価でCTRも1%前後と高めですが、リードの質はLinkedInに劣ります。YouTube広告は認知度向上には優れるもののCTRは0.1〜0.3%程度と低く、直接リード獲得には不向きです。
LinkedIn広告はCPCが高い反面、CVRが6〜7%、フォーム利用では10%以上と圧倒的に高く、CPAも効率的に抑えられる傾向があります。実際のセミナー集客比較では、FacebookがCPA約6,000円だったのに対し、LinkedInは約3,000円と半分に抑えられました。
海外営業では「量より質」が重要なため、LinkedIn広告のROIは他媒体より有利になるケースが多いのです。
指標 | LinkedIn広告 | Facebook広告 | YouTube広告 |
---|---|---|---|
平均CTR | 約0.44%(InMailは3.2%) | 約0.9〜1.2% | 0.1〜0.3% |
平均CPC | 800〜1,200円 | 数十〜数百円 | 数十〜数百円 |
CVR | 6〜7%、フォームは10〜15% | 3〜4%前後 | 1%未満 |
特徴 | 意思決定者層への高精度リーチ | 低CPCで広範囲に露出 | 認知拡大向きだがリード化は弱い |
LinkedIn広告で費用対効果を高めた成功事例①:Cisco Canada
Cisco Canadaは、ITサービスの見込み顧客向けにホワイトペーパーを活用したLinkedIn広告を展開しました。ターゲットは意思決定者や管理職に絞り込み、広告からの誘導先でウェビナー登録を促す設計としました。その結果、CTRは他チャネルより低めながらも質の高いアクセスを集めることに成功。
さらに、リード獲得単価は従来のデジタル広告より大幅に低下し、商談につながる確度の高いリードを効率よく獲得できました。
BtoBの海外営業において「数より質」を重視する場合、LinkedIn広告の効果が実証された好例です。
LinkedIn広告で費用対効果を高めた成功事例②:Samsung SDI
Samsung SDIは、海外市場向けに自社の技術紹介やセミナー情報を発信する目的でLinkedIn広告を活用しました。
特に、スライド形式のコンテンツ広告とInMail広告を組み合わせ、対象業界の技術責任者や経営層に直接アプローチした点が特徴です。
結果として、わずか2か月間で年間に相当するリード数を創出し、効率的にターゲット市場での認知拡大と商談機会の獲得を実現しました。LinkedIn広告の効果を最大限に引き出すには、こうしたマルチフォーマット活用が有効であることを示した事例といえます。
4.効果を出すために知っておくべきデメリット
CPCが高止まりしやすい
LinkedIn広告は他のSNSと比較してクリック単価が高く、1クリックあたり800〜1,200円が目安とされます。
これはFacebookの数倍に達し、予算を消化しやすい点がデメリットです。しかし、海外営業担当者にとって重要なのは「1クリックから得られるリードの質」です。
意思決定者やキーパーソンに直接リーチできるため、リード単価は高くても最終的な成約率でROIを確保できるケースが多いのです。初期運用では小規模テストで効果的なセグメントを見極め、効率の良い配信に集中することが成功のカギとなります。
利用ユーザー数が少なく配信量が伸びにくい
日本国内でのLinkedInユーザー数は約400万人にとどまり、Facebookの数千万人規模と比べると小さな市場です。
そのためターゲットを絞り込みすぎると配信ボリュームが不足し、同じユーザーに広告が繰り返し表示されてしまうリスクがあります。
海外営業に取り組む場合は、日本国内だけでなく北米やASEANなど海外市場を含めて配信エリアを広げることで、十分なリーチと効果を得やすくなります。
効果検証に時間がかかる
LinkedIn広告は質の高いリードを生む反面、商談化・受注まで時間がかかるのが特徴です。
特にBtoB海外営業では検討期間が半年以上に及ぶケースも多く、広告効果を短期的なCTRやCV数だけで判断すると誤解につながります。
リード獲得後のナーチャリングや営業連携を前提とし、商談化率や受注率まで追跡してROIを測定することが不可欠です。
5.効果を出す運用のコツ
小さく始めてテストを重ねる
LinkedIn広告は高精度ターゲティングが可能ですが、設定を誤ると費用対効果が悪化します。
そのため最初は小規模テストで複数のターゲットや広告クリエイティブを比較し、勝ちパターンを見つけてから投資を拡大するのが安全です。
特に海外営業では、まずは1地域・1商材に絞って検証し、成果が確認できてから他市場に広げる戦略が有効です。
他チャネルと連携する
LinkedIn広告単独でも効果はありますが、Google広告やFacebook広告と組み合わせることでROIはさらに高まります。
例えばLinkedInで獲得したリードをGoogle広告のカスタマーマッチに活用したり、Facebookでリターゲティングしたりすることで接点を増やせます。
海外営業においては、現地特有のSNSや業界メディアとも併用することで、商談につながる確度をさらに高められます。
6.まとめ
LinkedIn広告は、CPCの高さや国内ユーザー数の少なさといった課題はあるものの、BtoB海外営業において圧倒的な効果を発揮する広告チャネルです。
意思決定者に直接リーチできる特性は他のSNSにはない強みであり、少数精鋭のリードを効率的に獲得できます。
特に高単価商材やグローバル展開を目指す企業にとってはROIが非常に高く、成功事例も数多く報告されています。運用の際は小規模テストと他チャネル連携を意識し、リード獲得後はナーチャリング施策と組み合わせることで、商談・受注に直結する効果を最大化できます。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。