Linkedin広告のターゲティング全種類一覧 基本・一致・予想拡張オーディエンスまで徹底解説
この記事でわかること
- LinkedIn広告のターゲティング全体像(基本・一致・予測拡張の3種類
- 各ターゲティング方法の分類と選択肢(会社規模・業種・職務など)
- 初心者でも実践できるターゲティング活用の流れと考え方
LinkedIn広告は、BtoBマーケティングにおいて精度の高いターゲティングが可能な媒体です。しかし、分類や設定方法が多く、初めて利用する方には少し複雑に見えるかもしれません。
本記事では、基本から応用までのターゲティング方法を体系的に整理して解説します。
LinkedIn広告のターゲティングの全体像
LinkedIn広告のターゲティングは大きく「基本オーディエンス」「一致するオーディエンス」「予測・拡張オーディエンス」の3種類に分かれます。
基本オーディエンスはユーザーの属性や職務情報に基づくセグメント、一致するオーディエンスは自社データや訪問履歴を活用したカスタム配信、予測・拡張オーディエンスはAIが潜在層を抽出する仕組みです。
これらを適切に組み合わせることで、BtoBマーケティングの効果を最大化できます。
1.基本オーディエンス(6分類)
プロフィール情報を基に、属性や勤務先などでセグメントするのが基本オーディエンスです。
最も利用頻度が高く、業界・職種・役職に応じた精度の高い配信が可能です。
① ロケーション
ユーザーの居住地や勤務地を基準に指定できます。日本では都道府県や市区町村まで選択可能で、海外市場向けにも柔軟に対応できます。商圏や出展地域に合わせたピンポイントな配信が可能です。
- 国
- 都道府県
- 市区町村
② プロフィール言語
プロフィールに設定された言語を基準に配信します。
選択肢(主要21言語)
- 日本語
- 英語
- ドイツ語
- フランス語
- イタリア語
- スペイン語
- ポルトガル語
- ロシア語
- 韓国語
- ヒンディー語
- インドネシア語
- マレー語
- オランダ語
- スウェーデン語
- ノルウェー語
- デンマーク語
- チェコ語
- トルコ語
- ルーマニア語
- ポーランド語
- アラビア語
③ 会社(8種類)
ユーザーが勤務する会社に関する情報を基準に分類します。規模や売上、業種など多角的に切り口を設定でき、ABM(アカウントベースドマーケティング)にも直結する重要なカテゴリです。
会社カテゴリー
選択肢
- Fortune 500(世界)
- Fortune 1000(米国)
- LinkedIn編集部ランキング(国別)
会社のフォロワー
選択肢
- 自社ページのフォロワー
- フォロワーの一次つながり
会社の成長率
選択肢
- マイナス成長
- 0%〜3%
- 3%〜10%
- 10%〜20%
- 20%以上
会社名
選択肢
- 個別指定(検索)
- CSVアップロード
企業収益(USD)
選択肢
- $1M未満
- $1M~$10M
- $10M~$100M
- $100M~$1B
- $1B以上
会社の規模(従業員数)
選択肢
- 本人のみ
- 2–10人
- 11–50人
- 51–200人
- 201–500人
- 501–1,000人
- 1,001–5,000人
- 5,001–10,000人
- 10,001人以上
業種(代表カテゴリ例)
選択肢
- エンターテインメント・文化
-芸術・クリエイティブ職(ミュージシャン、アーティスト/作家)
-娯楽・スポーツ(フィットネス、カジノ・アミューズメント、スポーツチーム/競技場) - テクノロジー・情報・メディア
-IT・インターネット(ソフトウェア開発、データ分析/インフラ、ソーシャルプラットフォーム)
-メディア・通信(放送・配信、出版、映像・音響制作) - プロフェッショナルサービス
-ITサービス・コンサルティング(システム設計/導入/保守、セキュリティ/サポート)
-ビジネスコンサルティング(経営戦略、人事/HRサービス、環境コンサルティング) - 不動産・設備賃貸
-不動産(住宅・商業)
-設備レンタル - 公益事業・エネルギー
-水道・廃棄物管理
-発電(再エネ/原子力/化石燃料)
-送電・電力供給 - 卸売・小売
-卸売(化学製品/機械/食品)
-小売(アパレル/EC/生活用品) - 建設・インフラ
-建築(住宅/商業)
-土木(道路/橋梁/インフラ)
-設備工事(電気/空調) - 教育・医療・社会サービス
-教育(初等~高等、職業訓練)
-医療・ヘルスケア(病院/介護/在宅医療)
-社会福祉(高齢者支援/非営利) - 製造業
-機械・電子(自動車/半導体)
-化学・素材(化学製品/医薬品/金属)
-食品・飲料(乳製品/菓子/飲料) - 輸送・物流
-陸運(トラック/タクシー/バス)
-海運・航空
-倉庫・サプライチェーン
-鉄道・輸送インフラ - 金融サービス
-銀行・信用仲介
-保険(生命/医療/損害)
-投資・資本市場(VC/証券/投資銀行)
-年金・基金
社員のつながり
選択肢
特定企業の従業員と一次つながり
④ 統計データ(2種類)
ユーザーの人口統計に基づく基本的な属性でセグメントします。シンプルながらターゲット像を大きく左右する重要な要素です。
- 年齢
- 性別
⑤ 学歴(3種類)
教育に関する情報を基準にユーザーをセグメントできます。専門性やバックグラウンドをもとにターゲティングが可能です。
- 出身校
- 学位
- 専攻
⑥ 職歴経験(5種類)
ユーザーの職務経験に基づき、スキルや役職、経験年数などを切り口にして配信対象を絞り込むことができます。
スキル
スキルを基準にターゲティングできます。
選択肢例
- プログラミング(Python、Java、C++ など)
- デジタルマーケティング
- プロジェクトマネジメント
- データ分析
- 財務会計
- セールス交渉
- 外国語スキル(英語、中国語など)
ポジション
職務タイトルを基準に指定できます。経営層から専門職まで幅広く設定可能です。
選択肢例
- 最高経営責任者(CEO)
- 最高技術責任者(CTO)
- 最高財務責任者(CFO)
- マーケティングディレクター
- エンジニアリングマネージャー
- 営業マネージャー
- プロダクトマネージャー
- プロジェクトマネージャー
- カスタマーサクセスマネージャー
- 人事マネージャー
- 財務アナリスト
- 法務担当(Legal Counsel)
- データサイエンティスト
- ソフトウェアエンジニア
- 研究員(Researcher)
- デザイナー(UI/UX、グラフィック)
- 教師/講師
- 医師/看護師
社会人経験年数
キャリアの長さを基準に分類できます。若手からベテランまで段階的に設定可能です。
選択肢
- 1年未満
- 1〜2年
- 3〜4年
- 5〜6年
- 7〜8年
- 9〜10年
- 11〜12年
- 12年以上
職務タイプ
ユーザーが担う職務機能や部門に基づいて分類できます。共通する業務領域ごとにセグメントすることで、関心や役割に即した広告配信が可能です。
選択肢
- 営業
- マーケティング
- プログラム・プロジェクト管理
- IT・コンピューター
- 法律・法務
- 品質管理
- 事業開発
- ヘルスケア
- アート・デザイン
- 行政
- 教育
- メディア・通信
- エンジニアリング
- コンサルティング
- 財務
- 会計
- 人事・採用
- 購買
- カスタマーサクセス・サポート
- 研究開発(R&D)
- コミュニティ・社会福祉
- 不動産
- 起業・スタートアップ
- オペレーション
- 軍事・防衛
- サプライチェーン・ロジスティクス
- 環境・サステナビリティ
職務レベル
ユーザーの現在の役職階層に基づいて分類できます。組織内での責任範囲や意思決定力に応じてアプローチを最適化することが可能です。
選択肢
- 事業主/オーナー
- 最高責任者(CXO)
- 副社長(VP)
- 部門長・ヘッド
- ディレクター
- マネージャー
- シニアレベル
- エントリーレベル
- 研修/トレーニング
- ボランティア
- 経営パートナー
- 顧問・アドバイザー
2.一致するオーディエンス(6分類)
自社のデータや訪問履歴を利用して、既存接点のあるユーザーに再アプローチします。
① ウェブサイトリターゲティング
自社サイトを訪問したユーザーに対し、再度広告を表示する仕組みです。
- インサイトタグを設置し、自社サイト訪問者を対象化
- 商品ページや問い合わせページ閲覧者に再配信
② コンタクトターゲティング
保有する顧客や見込み客のメールアドレスリストを使って広告を配信します。
- 自社保有のメールアドレスリストをCSVでアップロード
- LinkedInユーザーと照合して配信
③ アカウントターゲティング
特定の企業リストを指定し、その企業に所属する従業員へ広告を配信します。
- CSVで企業リストを指定
- 該当企業の従業員に広告を配信(ABM施策に最適)
④ イベントリターゲティング
LinkedInイベントで接点を持ったユーザーに対し、継続的に広告を表示します。
- LinkedInイベントの「参加予定/参加済み」ユーザーに広告を配信
- セミナーや展示会のフォローアップに有効
⑤リードジェンフォームターゲティング
リード獲得フォームを開封・送信したユーザーに、追加で広告を配信します。
- リード獲得フォームの「開封者/送信者」を対象化
- 未送信者への再喚起や送信済みへの追加提案
⑥ 動画視聴リターゲティング
動画広告を一定割合視聴したユーザーを対象に再配信します。
- 動画広告の視聴割合(25%、50%、75%)や再生時間で対象を絞り込み
- 商品デモ動画などから次のステップへ誘導
3.予測・拡張オーディエンス(2分類)
AIを活用し、既存条件に似た潜在層や類似ユーザーを自動抽出します。
① オーディエンス拡張と予測オーディエンスの違い
両者の仕組みの違いを理解することで、目的に応じた最適な使い分けが可能になります。
- オーディエンス拡張:既存ターゲット条件に近い層を自動追加
- 予測オーディエンス:過去の成果データを基にAIが新しい類似層を構築
② オーディエンス拡張
既存の条件に近いユーザーを自動的に追加し、配信規模を広げます。
- 設定条件に「似た」ユーザーを追加してリーチを拡大
- 例:営業マネージャーを狙う設定で、営業担当者も含める
③ 予測オーディエンス
過去のデータをもとにAIが新しい潜在顧客を発見する仕組みです。
- フォーム送信者やCV履歴を学習
- 類似行動を持つ新規ユーザー層をAIが構築
- リード単価削減や潜在層開拓に有効
まとめ
LinkedIn広告のターゲティングは、大きく3つの柱で構成されています。
- 基本オーディエンス:
年齢や性別、勤務先や役職など、ユーザーが登録しているプロフィール情報に基づいて配信相手を絞り込む方法です。最初に試すべき基本的な設定で、ターゲットのイメージを明確にできます。 - 一致するオーディエンス:
自社サイトを訪れた人や、メールリスト・企業リストなど既に接点を持つ相手に広告を配信する方法です。「知っている相手にもう一度アプローチする」イメージで、成約率を高めやすい特徴があります。 - 予測・拡張オーディエンス:
AIが過去のデータを分析し、類似する新しいユーザーを見つけてくれる仕組みです。まだ自社を知らない潜在顧客にリーチを広げたいときに効果的です。
初心者の方は、まず
①基本オーディエンスでターゲット像を決める
②一致するオーディエンスで既存の見込み客に再アプローチする
③慣れてきたら 予測・拡張オーディエンスで新しい層へ広げるという流れで進めるのがおすすめです。
この3つを目的や状況に合わせて組み合わせることで、LinkedIn広告は「誰に、どのタイミングで、どんなメッセージを届けるか」を柔軟にコントロールできます。精度の高いターゲティングを実現することが、BtoBマーケティングの成果を大きく変える第一歩となります。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。