
LinkedInのメッセージ機能を使った営業方法を徹底解説
この記事で分かること
- LinkedInメッセージを活用した営業の基本
- 返信率を高めるための実践的アプローチ方法
- 効率的に成果を出す営業仕組み化のステップ
LinkedInは世界中のビジネスパーソンとつながれる強力なプラットフォームです。
その中でも「メッセージ機能」を使った営業は、信頼構築と新規開拓に直結します。しかし、送る内容やタイミングを間違えると、簡単にスルーされてしまいます。
この記事では、効果的なメッセージの書き方から仕組み化までをわかりやすく解説します。
目次
1.LinkedInのメッセージ機能を使った営業は可能?
LinkedInメッセージで営業はできる!
LinkedInのメッセージは、意思決定者に“いま”届く営業チャネルとして機能します。つながっていない相手にも直接届けられるInMail、接続後に使う通常メッセージの2種類があり、目的に応じて使い分けることで、新規接点の創出から関係構築まで一気通貫で進められます。
特にInMailは未接続でも到達できるのが強みで、短文(400文字以下)ほど返信率が上がるというベストプラクティスが複数の海外ソースで確認されています。メール起点の営業よりも、プロフィールや活動ログを手掛かりに即パーソナライズしたアプローチができる点もLinkedIn特有の優位性です。
さらに、フォローアップを適切に設計すると返信が有意に伸びる傾向があり、実務的には「初回→数日後フォロー→さらに数日後フォロー」の3通前後で最適化するのが効果的です。これらを踏まえ、LinkedInのメッセージはB2B新規開拓の中核に据えられる手段ともなりうる言えるでしょう。
LinkedInメッセージ機能がリード育成に向いている理由
LinkedInは、職務・業界・所属・関心といったビジネス文脈の一次データが豊富なため、初回接触から相手の文脈に合わせた価値提供がしやすいプラットフォームです。
Sales Navigator(有料)を使えば、職能・シニアリティ・地域・キーワードなどの高度フィルターや共通点(共通の所属・経験)で精密にターゲットを絞り、継続的な情報提供や会話で“温度”を上げる設計ができます。
実務では、投稿やプロフィールに基づく教育型コンテンツ(業界知見・事例・チェックリスト等)を小さく届け、負担のない単一のCTAで次の行動を促すフローの反復が有効です。
自動化ツールを補助的に使えば、フォローアップの漏れが減り、返信率が伸びるエビデンスも報告されています。データで絞る→価値提供→軽いCTA→適切なフォロー、この流れを回せるのがLinkedInの強みです。
2.返信の来る初回メッセージの書き方
初回メッセージで伝えるべき3つのこと
初回メッセージで大切なのは「短く・相手起点・行動は一つ」に絞ることです。相手に読まれやすく、返信につながりやすい流れをつくるためには、次の3つを意識しましょう。
- なぜあなたに:相手の投稿や経歴、共通点に触れて冒頭で接点を明示する
例:「◯◯の記事の△△に共感しました」 - 価値の仮説:相手の関心や課題に関連する“軽い価値”を提案する
例:「□□の比較資料をまとめており、御社にも役立つかもしれません」 - 単一のCTA:次の行動を一つに絞って依頼する
例:「10分だけ意見交換できませんか?」
全体は400文字以内を意識し、件名や冒頭に必ず相手固有の情報を盛り込むことがポイントです。これにより開封率と返信率を高め、自然な対話のきっかけを生み出せます。
送ってはいけないNG例文
営業メッセージで避けるべきは「自分本位・長い・圧が強い」内容です。LinkedInはビジネスSNSとはいえ、相手も日々多くの連絡を受けています。負担や違和感を与えるメッセージは即座に無視されてしまうため、以下の点に注意してください。
- 初回からの売り込み長文:機能やサービス説明を長々と列挙し、URLを大量に貼るのは即離脱の原因になる
- 複数CTAの詰め込み:接続・資料DL・ウェビナー参加など複数のお願いを同時にすると、結局“何もしない”を選ばれやすい
- コピペ感の強い文面:名前以外が誰にでも当てはまる文章は、スパムと見抜かれやすく信頼を損なう
- 唐突な面談要請:初回から「来週会えますか?」は心理的負担が大きく、警戒されてしまう
ベストは短文で相手の文脈に触れ、価値の仮説を示し、行動依頼は一つに絞ること。伝えたい情報が多い場合は分割し、返信があってから追加する方が自然で効果的です。
反応が取れる初回メッセージのテンプレート
初回メッセージは「相手固有→軽い価値→単一CTA」の流れを守ると反応率が高まります。長文で説明するより、短文でポイントを絞ったほうが心理的負担が少なく、返信を得やすいのです。以下のようなテンプレートを活用すると効果的です。
- 例1:共通点起点
「◯◯さん、はじめまして。共通の◯◯さんの投稿で御社の□□の取り組みを拝見し、特に△△の点に共感しました。□□に関する簡単な比較メモ(1枚)を作っており、もしご興味あれば10分だけ意見交換させてください。」 - 例2:相手投稿起点
「先日の◯◯記事の“△△”が参考になりました。実は同テーマで3社のやり方を調べており、要点1枚にまとめています。もし差し支えなければ共有しますので、短時間で感想を伺えますか?」
どちらも相手の具体情報に触れる→小さな価値を提示→次の行動を一つ依頼という順で構成されています。全体を400字以内に収めると返信率が高まるという海外データもあり、短文+個別化の組合せが成功の秘訣です。
3.営業メッセージに返信が来ない時のフォローアップ方法
追いメッセージは何日後がベスト?
“早すぎず遅すぎず”の目安は3〜5営業日です。間隔が短すぎると圧が強く、長すぎると関心が散逸します。
分析によると、初回後数日以内の1回目フォロー、さらに数日後の2回目が最も効果的で、3回目以降は逓減すると報告されています。
曜日・時間帯も成果に影響し、相手のタイムゾーン基準が相対的に見られやすい傾向。フォローでは「見落とし前提」の丁寧なトーンにし、新しい小さな価値(関連記事・1枚要約・簡易チェックリスト等)を添えると、再開封・返信のきっかけになります。
相手にプレッシャーを与えない例文集
フォローアップのメッセージは、相手に負担や圧を感じさせないことが大切です。プレッシャーを与えず自然に会話を再開するためには、相手の都合を尊重し、任意性を明示しつつ小さな価値を添えるのが効果的です。
以下のような表現が役立ちます。
- 例1:見落とし前提のフォロー
「お忙しいところ失礼します。前回の件、見落としだったかもしれないと思い一言だけ失礼します。◯◯の最新比較(1枚)を作りましたので、お時間のある時にご覧いただければ嬉しいです。ご無理のない範囲でご返信いただけますと幸いです。」 - 例2:任意性を明示した提案
「もしタイミングが合えば来週10分だけご挨拶できればと思います。もちろんご都合が合わなければ本件はこれ以上お邪魔しません。」
どちらも相手本位のトーン+“選べる余地”+小さな新規情報を含むことで、強引さを排しながら関係を温められます。定型的な“Just checking in…”よりも、文脈に紐づく具体的な情報を添える方が返信率は高まります。
有益な情報を届ける“教育型”メッセージが役立つ
営業色を前面に出すよりも、相手に役立つ情報を先に届けるほうが信頼は積み上がります。
教育型のメッセージは「この人は知見を共有してくれる存在だ」と認識してもらえるため、長期的な関係構築に効果的です。実践のポイントは次のとおりです。
- 相手の関心と連動:最近の投稿・役職・業界ニュースに関連する情報を選ぶ
- 1メッセージ1コンテンツ:PDF1枚や記事1本など、軽く消化できる単位で提供する
- ノープレッシャーのCTA:任意閲覧や「10分だけ意見交換」など選択肢を残す
- 別角度で再送:反応がなければ数日後に違う切り口で新規情報を提示する
「先に与える→後で提案」という流れは、LinkedInの短文・個別化ベストプラクティスとも相性が良いアプローチです。
自動化で送信の抜け漏れを防ぎつつ、提供する情報そのものは人間の目で精査し、価値を担保することが成功のカギになります。
4.営業メッセージの開封率・返信率を上げる方法
①開封される件名・冒頭文をつくる
InMailの件名(通常メッセージなら冒頭の先頭行)は短く(6〜9語目安)相手固有の内容が鉄則です。
営業臭の強いヘッドラインより、知人から届いたような自然体の文言、あるいは共通点や相手の投稿に触れる一言の方が開封されやすく、海外の実務記事でも推奨されています。
冒頭1〜2文は「◯◯の記事の△△が参考になりました」のように、相手に寄り添う内容から書き始め、自社紹介は後回しに。
数字や固有名詞を一つ入れる(「◯◯レポートの“3つの差”」など)と注意を惹きやすいです。
②メッセージは短く、読みやすくする
LinkedInでは短文ほど有利です。InMailは400文字以下で平均より22%高い返信率というベンチマークが知られており、冗長説明は避けて段落短め・一文短め・改行多めで“画面で読みやすい”形に整えます。
要点は3つまで、数字や記号で簡易箇条書きも有効。伝えきれない情報は返信後に小分けで送り、初回は“会話の糸口”に徹すると歩留まりが上がります。
③パーソナライズドした文章を送る
「あなたのために書いた」ことが伝わる固有要素(役職・投稿・受賞・共通の知人・地域・技術スタック等)を1〜2点、冒頭に入れます。
件名・本文の個別化は反応率を底上げするというデータがLinkedIn公式の研究(メール文脈)でも示唆されており、メッセージでも原理は同じです。
プロフィールを5分で深読みし、賞賛+質問の組み合わせで「返しやすい導線」をつくると、短文でも温度のあるやり取りに発展します。
④CTA(行動喚起)は1つに絞る
人は「選択が多いほど動けない」という原理をご存じですか?
メッセージの目的は一つに絞り、CTAも一つにします(例:「10分だけ話せますか?」or「つながっていただけますか?」)。
例えば「資料DL」も「ウェビナー登録」もと並べると、思考コストが上がり既読止まりになりがちです。日時を提示する場合も、候補を2つだけ提示し、Yes/Noで答えやすくするのがコツです。
⑤曜日・時間帯・頻度を見直す
LinkedInは平日・業務時間帯のアクティビティが高く、特に火〜木の午前〜午後は反応が出やすいと複数の分析が示します。
相手のタイムゾーン基準で、午前〜昼(9–14時)を軸にテストし、過去の自社データで最適帯を更新します。
フォローは3〜5営業日を目安に2回ほどにしましょう。しつこさは禁物ですが、ゼロ追いも機会損失です。カレンダーで曜日×時間×回数を管理すると再現性が上がります。
5.有料機能やツールで営業を効率化する方法
InMailと通常メッセージの違いと使い分け
InMailは未接続の相手にも直接送れる有料メッセージ(クレジット制)です。
件名が書け、到達性と「本気度」を伝えやすい反面、文字数は短く・個別化濃くが基本です。
通常メッセージは接続後の相手に使う日常連絡で、関係構築の主戦場。戦略としては、接続要請→未承認ならInMailで補完→承認後は通常メッセージに切り替えてフランクに継続、が実務で使いやすい流れをおすすめしています。
InMailはクレジットが有限なので本命アカウントに集中投下しましょう。
Sales Navigatorで狙いたい相手を正確に探す方法
Sales Navigatorの高度フィルター(職能・役職シニアリティ・業界・地域・キーワード等)を組み合わせ、最初は“やや広め”に当ててから結果を見て除外条件を重ねると精度が上がります。
ブール検索(AND/OR/NOT)で肩書と関心を束ねると一気に的中率が向上します。
保存リストとアラートで変化(役職変更・直近の発信)を追い、Spotlight条件(直近活動など)で話せる相手から着手するのが効率的です。
自動送信ツールでメッセージ送信を効率化する方法(Zopto・Waalaxy等)
運用量を増やすなら、自動化ツールを補助輪として活用することをおすすめします。
- Waalaxy
招待・メッセージ・フォローアップのシーケンスをGUIで組め、月あたりの処理上限内で「抜け漏れない追客」を実現します。 - Zopto
クラウド型で常時稼働・CRM連携に強く、レポーティングやA/Bテスト、Zapier/Webhook連携などの拡張性が特長です。
いずれも個別化差し込みを前提に、送信数は安全レンジで運用し、内容は人が磨くという分業が肝要です。
規約・制限に留意し、量より質×継続性を担保する設計にしてください。
6.まとめ
LinkedInのメッセージ営業は、短く・相手起点・一歩ずつを貫くほど成果が出ます。初回は「なぜあなたに」「軽い価値」「単一CTA」を400字以内で提示し、返信がなければ3〜5営業日の間隔で教育型のフォローを2回ほど行ってみてください。
曜日と時間は火〜木×勤務時間を軸にテストすることも欠かせないポイントです。
InMailと通常メッセージは、それぞれ役割が違います。InMailは新しい相手にアプローチするための手段、通常メッセージは一度つながった後の関係を深める手段として使い分けると効果的です。
さらに、Sales Navigatorを使えば、業種や役職などを細かく設定して「狙いたい相手だけ」を正確に探せます。
そして、自動化ツールは「補助輪」として活用し、フォローアップの抜けや作業のムダを減らすのに役立ちます。これらをチーム全体で仕組み化すれば、個人の工夫に頼らず、誰がやっても成果が出やすいB2B新規開拓の流れをつくることができます。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。