海外部品メーカーとつながる!製造業バイヤー向け展示会6選【2025年/日本国内】
目次
1.なぜ今、展示会で“海外メーカー”とつながるべきなのか?
調達先多様化の流れと“脱・一極集中”
近年、製造業の調達戦略は一極集中からの脱却が進んでいます。地政学リスクや物流混乱、価格変動といった不確実性を背景に、複数国からの調達網を築く「マルチソーシング」が重要視されているのです。そうした中、日本国内で開催される展示会に出展する海外企業は、コスト・品質・納期の新たな選択肢として注目されています。現地出張せずに接点を持てる場として、展示会の戦略的活用が一層重要になっています。
展示会で得られるリアルな製品情報と関係構築の強み
展示会では、製品の質感やサイズ感を直接確かめられるだけでなく、ブース担当者との対話を通じてメーカーの対応力や柔軟性を見極めることができます。サンプル確認やその場での見積もり相談、技術的な質問など、Webサイトでは得られないリアルな情報が手に入るのが展示会の魅力です。また、フェイス・トゥ・フェイスの接点は信頼関係構築にも効果的で、長期的な取引へとつながることも少なくありません。
海外メーカー側も日本市場進出に積極的な理由とは?
海外メーカーにとっても、日本国内の展示会は市場開拓の重要な場です。日本の製造業が求める品質基準は高く、そこで採用されれば他国市場での信頼にもつながるという意識が強くあります。円安傾向が続く今、価格競争力を武器に出展するアジアや欧州のメーカーが増えており、日本市場向けに専用の資料やブース設計を用意する企業も少なくありません。こうした“売る気”のある海外企業と直接つながれるのが、今の展示会の価値です。
2.2025年に日本国内で開催される注目展示会6選(海外出展企業あり)
① 機械要素技術展(M-Tech)
開催地・時期:東京(7月)、大阪(10月)、名古屋(4月) 主催:RX Japan 規模感:来場者数:約55,000人(東京展)/出展社数:約2,000社(3都市合計) 海外出展:中国・台湾・韓国企業を中心に約200社前後が参加(東京展)
M-Techは、機械部品や加工技術に特化した日本最大級の専門展示会で、3都市で開催されます。東京展ではアジアを中心とした海外メーカーの出展が約200社にのぼり、ねじ・ばね・軸受など多彩な分野の比較検討が可能です。調達担当者にとっては、海外企業と直接対話し、品質・コスト・納期の条件をすり合わせる絶好の機会。英語対応ブースも多く、海外との接点を広げたい企業には非常に有効な展示会です。
② INTERMOLD(金型加工技術展)
開催地・時期:東京(4月)、他3都市で隔年開催 主催:日本金型工業会、テレビ大阪 規模感:来場者数:約50,000人/出展社数:約350社 海外出展:中国・韓国・台湾・ドイツなどから50社以上出展(例年)
INTERMOLDは、金型・加工技術に特化した日本有数のBtoB展示会で、製造業の中でも精密加工・金属成形に関わる層に人気です。韓国・台湾・ドイツなどからの海外出展が例年50社以上にのぼり、特に金型部品や超硬工具、加工設備の分野で先端技術の展示が充実しています。海外メーカーの技術比較やサンプル確認がしやすく、現場の設計者・生産技術者にとっては実務に直結する商談の場として高く評価されています。
③ SMART FACTORY Expo
開催地・時期:東京(1月)、関西(10月) 主催:RX Japan 規模感:来場者数:約85,000人(東京展)/出展社数:約1,700社 海外出展:欧州・北米・アジアの先端ベンダーが約150社以上出展
SMART FACTORY Expoは、製造現場のデジタル化・自動化をテーマにした展示会で、国内最大級のスケールを誇ります。センサ、IoT、MES、AI解析など幅広いテーマで構成されており、海外企業の出展も多く、欧州・北米のDXベンダーや自動化装置メーカーが150社以上参加しています。工場のスマート化に関心のある調達・DX推進担当者にとって、海外の技術・製品とリアルにつながるまたとないチャンスです。
④ TECHNO-FRONTIER
開催地・時期:東京ビッグサイト(7月23日〜25日) 主催:JEITA(電子情報技術産業協会) 規模感:来場者数:約36,000人/出展社数:約470社 海外出展:中国・台湾・ドイツ・米国などからの出展が約80社以上
TECHNO-FRONTIERは、モータ技術、電源、制御、熱設計など、製品の中核技術にフォーカスした展示会です。電子機器や精密部品に強い海外メーカーの出展も多く、欧米・アジアからのハイエンドなサプライヤーと直接商談が可能です。研究・開発職から調達担当まで、幅広い製造業関係者が訪れ、製品性能や技術比較をリアルに行える環境が整っています。BtoB技術商談に非常に適した場です。
⑤ JPCA Show(国際電子回路産業展)
開催地・時期:東京ビッグサイト(6月4日〜6日) 主催:エレクトロニクス実装学会 規模感:来場者数:約20,000人/出展社数:約440社(30か国以上) 海外出展:全体の約20〜25%が海外企業(特に中国・台湾・韓国)
JPCA Showは、プリント基板、電子回路、実装・検査装置などを扱う電子業界向けの展示会です。海外出展は30か国以上に及び、とりわけ中国・台湾・韓国の基板メーカーやEMS(電子製造サービス)企業が目立ちます。軽量化、微細化、高多層化といった先端トレンドを背景に、海外メーカーとの技術・価格比較がしやすい点が特徴。回路設計や部材調達の実務担当者にとっては、最前線の情報収集とサプライヤー開拓を同時に行える場です。
⑥ MF-TOKYO(プレス・板金・フォーミング展)
開催地・時期:東京ビッグサイト(2025年7月9日〜12日) 主催:日本鍛圧機械工業会、日刊工業新聞社 規模感:来場者数:約40,000人/出展社数:約350社(うち海外企業:約80社) 海外出展:ドイツ、韓国、インド、台湾、アメリカなど
MF-TOKYOは、金属加工・板金・プレス加工分野の最先端技術が集まる専門展示会で、4年に一度の大型開催が特徴です。2025年展では海外企業の出展が80社前後にのぼる見込みで、欧米・アジアのプレス機、成形装置、ベンディング機器メーカーとの新規接点を構築できます。日本の大手製造業との商談も盛んで、機械加工や金属成形の国際技術交流のハブとなっています。
3.展示会で海外出展企業と効率よくつながる方法とは?
事前の出展社リスト活用とマッチング予約
展示会前に公開される出展社リストは、海外企業と効率よく商談するための基本ツールです。出展企業を事前にチェックし、自社の調達ニーズと合致する企業に絞ってアプローチ計画を立てることで、限られた会期中の時間を最大限に活用できます。マッチングサービスや来場予約制度を利用することで、事前に商談の打診ができる展示会も増えてきました。
英語対応・通訳・サンプル入手の準備
海外企業とスムーズに商談を進めるためには、通訳や英語スピーカーの帯同、技術資料の英訳など事前準備が不可欠です。特に専門用語や図面を用いる場面では、共通認識を得る工夫が重要となります。また、ブース訪問時には実物サンプルや比較資料を求めると、製品理解が深まり後工程の判断も迅速になります。
展示会後のフォローアップと再訪戦略
展示会は“一期一会”ではなく“次につなげる場”です。名刺交換後は速やかなお礼メールとともに、製品情報や資料を送付し、信頼構築を始めましょう。商談の温度感が高かった企業には、オンライン面談や試作品評価の機会を設け、次のアクションへと誘導します。年に数回の再訪を通じて、定期的な接点を継続できる体制を構築しましょう。
4.まとめ|2025年は“海外との接点”を国内でつかむ年に
展示会は“リアルで会える数少ない接点”
コロナ禍以降、海外出張の制限や旅費削減の流れもあり、国内で開催される展示会が“直接対話できる数少ない場”として再評価されています。実物を見て触れられるだけでなく、その場で仕様や納期の細かな確認、サンプルの入手、担当者の対応力までを確認できるという点で、オンラインでは得難い情報が得られます。海外市場調査の一環としても、現地感覚を肌でつかむ貴重な機会であり、デスクトップリサーチでは得られないリアルな反応を観察できます。**日本語対応ブースも一部あり、初めて海外企業とつながる企業にとっても参加のハードルが下がっています。
出張なしでも商機をつかめる絶好のチャンス
通常、海外企業との接点には現地出張が必要ですが、国内展示会であればその負担を大きく削減できます。通訳手配や翻訳資料の準備といった対応を行えば、商談の精度も高まり、現地出張に劣らぬ成果を出すことも可能です。コスト面・時間面でも効率的であり、複数の海外ベンダーと同時に比較検討できるという点でも大きなメリットがあります。調達や購買部門にとっては、リスク分散と競争力強化の絶好の機会といえるでしょう。また、複数国・複数企業の商材や担当者の対応を比較することで、戦略的な海外市場調査にもつながります。
タイミングを逃さず、次の商談につなげよう
展示会は、情報収集の場であると同時に商談への入り口でもあります。事前にターゲットとなる出展社をリストアップし、英語対応や技術資料の準備、必要に応じた社内承認フローの調整などを行っておくことで、現場での商談が円滑に進みます。展示会当日だけで完結させるのではなく、アフターフォローと再訪計画を組み合わせることで、継続的な取引への布石にもなります。展示会での対話や観察結果は、単なる調達活動にとどまらず、海外市場調査の一次情報として自社の戦略立案にも活用できます。2025年は、展示会を単なる“情報収集”から“海外調達の起点”に変えるチャンスです。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。