InMail反応率16%超!Startup Grindに学ぶLinkedIn Sales Navigator実践術

監修者
中島 嘉一
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。
Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。
目次
1.世界中の起業家を支援する「Startup Grind」とは
シリコンバレー発のスタートアップ支援ネットワーク
Startup Grindは、2010年にシリコンバレーで誕生した世界最大級のスタートアップ支援コミュニティです。Google for Startupsと提携し、現在は125ヵ国・600都市以上に支部を持ち、累計200万人以上の起業家が参加しています。彼らのビジネスモデルは、起業家やパートナー企業をつなぎ、イベントやメディアを通じて価値を提供することです。グローバル展開が前提の活動であるため、オンラインでの営業活動が生命線となっています。従来の展示会や知人紹介といった方法では網羅できない潜在パートナー・協業先とつながるために、効率的な営業手段が求められていました。その解決策として彼らが選んだのが、LinkedIn Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)だったのです。
成長企業がLinkedIn活用に注目した背景
Startup Grindは、対象となる顧客やパートナーが世界中に分散しているため、従来のメールや展示会に依存しない営業手法を模索していました。そんな中、ターゲット企業の決裁者をピンポイントで探せるLinkedIn Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)の導入を決定。業界や役職、所在地などを細かく指定できる高度な検索機能と、つながりのない相手にも直接連絡できるInMailの存在が決め手となりました。特にBtoBの営業において、信頼性のある接点が不可欠な中で、LinkedInの「実名・実績ベース」のネットワークは大きなアドバンテージになります。また、メールアドレスが不要で、現場の担当者や決裁者に直接アプローチできる点も、海外営業における新たな突破口として注目された理由のひとつです。
なぜInMailを選んだのか?
Startup GrindがInMailに注目した理由は、従来のEメールに比べて圧倒的に高い開封率・返信率が期待できる点にありました。LinkedIn上でやりとりするため、迷惑メールに分類されにくく、相手に“届く”ことが最大の魅力でした。また、相手のプロフィールを確認した上でパーソナライズしたメッセージを送ることができるため、従来の営業よりも「自分ごと」として受け止めてもらいやすいというメリットもありました。さらに、InMailは送信上限があるため乱発されにくく、受信者側にとっても「選ばれたメッセージ」と感じてもらいやすい構造があります。こうしたLinkedIn特有の“場の信頼性”と“営業色の薄さ”が相まって、InMailはStartup Grindにとって最適な営業チャネルとなったのです。
2.LinkedIn Sales Navigator導入がもたらした成果
10ライセンス体制でリード2,300件保存
Startup GrindはSales Navigatorのライセンスを10席導入し、わずか6か月間で2,300件以上のリードを保存することに成功しました。これは、単に検索した相手をスプレッドシートに記録するのではなく、LinkedIn上で保存し、相手の投稿や役職変更などの最新情報を継続的に追跡できる仕組みです。リードはタグ付けやメモ機能を使って分類・管理でき、営業タイミングの最適化やチーム内共有にも活用されます。保存したリードに対しては通知機能もあるため、決裁者の転職・昇進など“アクションのきっかけ”を見逃すことがありません。このような運用により、タイミングを逃さない営業アプローチが可能となり、商談化率が大きく向上しました。まさにデジタル時代の新しい営業基盤と言えるでしょう。
InMail反応率は驚異の16%超え
LinkedIn Sales NavigatorでのInMail活用により、Startup GrindのInMail返信率はなんと16%を超えました。これは通常の営業メールの2〜3%という水準を大きく上回る数字です。LinkedIn上での接触は、実名・職歴ベースのネットワークに根ざしているため信頼性が高く、読み手側にとっても「無関係な営業」とは感じにくいのが特長です。InMailの上限設定によって乱発できない構造も、高反応率に寄与しています。また、InMailでは返信がなければクレジットが返却される仕組みもあるため、送り手側の“質を上げよう”という意識も高まります。実際、Startup Grindの営業担当者はメッセージの冒頭で相手の投稿や肩書きに触れ、個別最適化されたアプローチを徹底していました。これが高い返信率を生んだ要因です。
「Sales Navigatorなしでは今の成長はなかった」
Startup GrindのSenior Partnerships ManagerであるLindsay Markel氏は、「Sales Navigator(セールスナビゲーター)なしでは今の成長はあり得なかった」と明言しています。営業チーム全員がこのツールを活用することで、営業効率だけでなく、社内の情報共有やターゲット理解の精度も向上。従来のEメール営業では一切反応が得られなかった層からも反応があり、新しい顧客層の開拓につながったと評価しています。さらに、メールツールやCRMとの連携によって、InMailの活用は単独で終わらず営業フロー全体の中に組み込まれました。Markel氏は「Sales Navigatorを使うことで、チーム全体が戦略的に動けるようになった」とも述べており、単なるツール以上に組織文化の変革をもたらした存在だったと位置づけています。
3.なぜInMailは高反応なのか?Sales Navigatorの構造的優位
LinkedIn内の信頼ネットワークに基づくリーチ
InMailが高い反応率を誇る最大の理由は、LinkedInという信頼性の高いプラットフォーム上で直接送信されることにあります。LinkedInは実名・経歴ベースのSNSであり、登録者の多くがビジネス目的で利用しています。そのため、InMailは「営業色の強いメール」ではなく、「ビジネスの延長線上の連絡」として自然に受け止められやすくなります。受信者にとっては、同じ業界や関心を持つ人物からのメッセージとして好意的に受け入れられることが多く、迷惑メールのように扱われるリスクが低いのです。また、InMailはLinkedInアカウントにログインしているタイミングで通知が届くことが多いため、開封率や既読率が他のチャネルよりも高くなる傾向にあります。
Sales Navigatorのフィルターで“本当に会いたい人”を絞れる
LinkedIn Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)の強みは、豊富なフィルター検索により「今アプローチすべき相手」を正確にリスト化できることです。たとえば「製造業」「従業員数500人以上」「海外拠点責任者」「購買部長」など、業種・規模・役職・勤務地・言語など50以上の検索条件を組み合わせることで、営業対象者を極めて精密に絞り込めます。これにより、ターゲットからずれた無駄な接触を減らし、アプローチの質を高めることができます。さらにリスト保存やタグ機能によって、進捗管理や継続フォローも容易になります。「本当に話したい人」にだけ届く営業は、相手からの反応も高く、成約率にも直結するのです。
InMail送信上限がメッセージの質を高める
InMailには月ごとの送信数制限があるため、営業担当者は限られた枠の中で成果を出す必要があります。この制限がむしろ“1通1通の質を上げる”動機づけにつながります。大量のテンプレート送信ではなく、相手のプロフィール、投稿、キャリアに基づいたパーソナライズメッセージを書くことが基本になります。実際、LinkedInのデータによると短く簡潔なInMailの方が返信率が高く、400文字未満のメッセージは平均より22%高い成果を上げているという報告もあります。つまり、制限があるからこそ「質で勝負」する意識が生まれ、受信者にもそれが伝わるという構造になっているのです。これにより、LinkedInでの営業は“丁寧な営業文化”を生み出しています。
4.日本企業こそ活かすべき!LinkedIn Sales Navigator活用のヒント
日本ではまだ「競合がやっていない」状態
LinkedInは世界では10億人以上が利用しているビジネスSNSですが、日本における利用者はまだ数百万人規模にとどまり、営業活用は始まったばかりです。つまり、Sales Navigator(セールスナビゲーター)を活用した営業は「競合がまだやっていない」状態にあり、先行者利益が得やすい分野といえます。特に海外企業をターゲットにしたBtoB営業では、日本企業が電話や展示会中心の手法にとどまる中、LinkedIn営業に取り組むことで、差別化されたアプローチが可能になります。また、営業先の現地企業にとっても、LinkedInでの接触は自然なものであり、日本企業がこれを活用できれば、よりフレンドリーな印象を与えることも期待できます。
メールアドレス不要で海外の決裁者に直接アプローチ
Sales Navigator(セールスナビゲーター)の最大のメリットの一つは、相手のメーアルドレスが分からなくてもInMailで直接アプローチできる点です。これにより、従来のように問い合わせフォームや代表電話を通す必要がなくなり、いきなり担当者本人や決裁者にメッセージを届けられます。特に海外の大企業では、組織構造が複雑で担当者にたどり着くのが困難な場合が多く、Sales Navigatorはその「壁」を飛び越える手段となります。加えて、InMailは返信がなかった場合にはクレジットが返却される仕組みがあるため、費用対効果も高く、スモールスタートで導入しやすい点も魅力です。営業担当者にとっては、効率よく確度の高い商談を作る強力な武器となります。
まずは“1ライセンス”から始めるのが現実的
LinkedIn Sales Navigator(リンクトインセールスナビゲーター)は月額1万円前後から導入可能で、最初は営業担当者1人からでも始めることができます。多くのツールと違って、いきなり全社導入する必要がなく、まずは「試して成果を検証する」ことができるのです。たとえば、ターゲット10社に対してInMailを送信し、反応率や商談化率を見ながら効果測定を行い、成功すれば営業チーム全体に展開するという段階的な導入が現実的です。また、無料トライアルも存在するため、最初の数週間で使い勝手や成果を確認することも可能です。大規模な展示会や広告よりも低コストでスタートできるこのツールは、特に中小企業や新規事業開拓フェーズにある企業にとって、試す価値のある選択肢となります。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。