
2025年最新版|海外販路開拓に使える補助金まとめ【越境EC・BtoB営業にも対応】
目次
1. 海外販路開拓を加速する補助金とは?今こそ注目すべき理由
展示会に頼りきり…それ以外の選択肢が見えなかった
「海外営業といえば展示会」——そう考えてきた企業は少なくありません。しかし、出展費や渡航費が高騰する中、思うように成果が出ず、次の手を打てずにいる企業も多いのが現実です。さらに、展示会はタイミングや地域、参加者層によって相性が分かれ、継続的な海外販路開拓には向いていないこともあります。こうした状況の中で、近年注目されているのが、越境ECやWebを活用した「デジタル販路開拓」です。展示会のような偶発的な出会いではなく、ターゲットにピンポイントで接触できるこの方法は、費用対効果の面でも優れており、多くの企業が補助金を活用してオンライン施策に着手し始めています。
海外営業における初期費用の高さと補助金の有効性
海外顧客を獲得するには、Webサイトの構築、多言語対応、翻訳、広告、物流調査、契約書の整備など、さまざまな費用が発生します。特に中小企業では、限られた人員と予算の中で、海外営業と国内業務を両立するのは簡単ではありません。こうした背景から注目されているのが、国や自治体が提供する「海外販路開拓支援補助金」です。最大で500万円程度の支援が受けられる制度もあり、初期コストを抑えて段階的に海外進出を目指すことが可能になります。補助金は、単に費用を補填するだけではなく、新しい営業チャネルに挑戦する企業にとって、リスクを下げる強力な手段となっています。営業手法をアップデートしたいと考える企業こそ、積極的に活用すべき制度といえるでしょう。
国や自治体が補助金支援を強化する背景とは?
国内市場の縮小が進む中で、中小企業の生き残り策として「海外展開」は欠かせないテーマになっています。これに応える形で、国(経産省・中小企業庁)や地方自治体(都道府県・市区町村)は、補助金をはじめとする各種支援策を拡充しています。特に製造業やBtoB企業など、国内需要が頭打ちになりやすい業種に対しては、翻訳・Webサイト制作・展示会出展・広告など幅広い領域で費用をサポート。JETROや中小機構、商工会議所などが窓口となって、無料相談や専門家派遣なども組み合わせながら、一気通貫での支援体制が整いつつあります。国全体として「攻めの海外営業」を後押しする政策転換の中にいる今こそ、制度を活用する絶好のタイミングです。
2. 2025年に活用できる補助金制度まとめ【越境EC・海外営業向け】
経済産業省|JAPANブランド育成支援等事業(全国)
「JAPANブランド育成支援等事業」は、経済産業省が主導する全国対象の補助金制度で、海外展開を本格化したい中小企業に向いています。補助上限は500万円、補助率は2/3以内で、越境ECサイトの構築、ブランディング、Web広告、コンテンツ制作、翻訳、現地PRなどが対象になります。特に、BtoB企業が海外バイヤー向けにWebで信頼構築を行うための基盤整備(多言語ページ、動画、UI設計など)にも柔軟に活用できます。申請には、具体的な海外販路拡大戦略が求められ、支援機関である「中小機構」が全国対応で伴走支援を行ってくれるのも特徴です。実際の採択事例も多数あり、補助金の活用を検討するなら、まず最初にチェックすべき代表格の制度です。
東京都|輸出スタート支援事業(都内中小企業向け)
東京都中小企業振興公社が運営する「輸出スタート支援事業」は、都内に本社や事業所を構える中小企業が、初めて海外展開を行う際に活用できる実践的な補助金制度です。補助対象は翻訳、越境ECサイト構築、海外向けパンフレット作成、ECモール出店費、SNS広告運用など。補助上限は150万円で、補助率は最大2/3。さらに、専門アドバイザーによる申請サポートや事前相談体制も整っているため、申請初心者にも優しい仕組みです。Webマーケティングやデジタル営業の第一歩を踏み出したい企業にとって、無理なく取り組める内容が揃っており、都内企業にとっては非常に有益なスタート支援になります。展示会からの脱却や、デジタル販路開拓を目指す企業にとってぴったりの制度です。
大阪府|海外展開支援補助金(大阪府内の中小企業向け)
大阪府が提供する「中小企業等海外展開支援補助金」は、大阪府内に拠点を持つ中小企業を対象とした補助制度で、地域密着型の支援が特徴です。補助対象経費は、現地市場調査、翻訳、海外Webプロモーション、商談支援、パンフレットの多言語化、ECサイト構築、さらには海外向け商品パッケージ開発など多岐にわたります。補助上限は原則100万円、補助率は2/3以内と手厚く、越境ECに挑戦したい企業だけでなく、BtoBの技術製品を売りたい企業にも適しています。また、府内の支援機関と連携して事前相談や書類作成サポートも受けられるため、申請のハードルが低く、初めて補助金に挑戦する企業にも適した制度となっています。タイミングを逃さず、年度初めの募集時期を狙って早めに準備を始めることが肝要です。
3. 補助金の対象となる事業内容とBtoB企業の活用パターン
中小企業庁|海外向けWebサイト構築・翻訳対応
海外のBtoB顧客に向けた営業では、信頼を得るために整備された多言語対応のWebサイトが必要不可欠です。中小企業庁が所管する「JAPANブランド育成支援等事業」などでは、英語・中国語・ベトナム語など、ターゲット国の言語に対応したWebサイトの新規構築や翻訳費用が補助対象となります。製品説明ページの翻訳だけでなく、SEOを意識したライティングや、現地に合わせたUI改善費用なども含まれる場合があります。BtoB企業の多くは、自社の強みをきちんと伝えられる構成や技術情報の整理が必要ですが、それらを専門業者に依頼するための費用を補助金でカバーすることができれば、大きな初期ハードルを乗り越えることが可能になります。信頼性が商談成否を分けるBtoB領域だからこそ、プロによる情報設計は欠かせません。
経産省・地方自治体|越境ECモール出店や広告費の補助
経済産業省や自治体が提供する越境EC向け補助金では、出店初期費用、ローカライズ作業、さらにはデジタル広告まで広範囲にわたって支援対象となっています。たとえば、「JAPANブランド育成支援等事業」や、東京都・大阪府の各補助事業では、Shopifyを活用した自社EC構築、AmazonやShopeeなどのECモールへの出店、さらにはインスタグラム広告やGoogle広告といった集客施策も補助対象とされています。従来、越境ECはBtoC中心の戦略とされてきましたが、業務用製品や産業機器といったBtoB商材でも、海外企業がダイレクトにWeb検索やECで調達する流れが加速しています。補助金を活用すれば、これまで直接取引が難しかった海外企業にも、自社製品の魅力を効果的に訴求できます。
中小企業支援機構・JETRO|海外市場調査や販促物の多言語化
海外販路を開拓するには、まず「どの国に、どの製品が、どのように求められているのか」を把握することが重要です。中小企業支援機構(中小機構)の「海外展開ハンズオン支援」や、JETROの「海外展開支援メニュー」では、現地ニーズの調査費用やターゲット国での競合分析、価格帯調査などにかかる費用が補助対象となることがあります。また、現地向け販促物の制作費(パンフレット・カタログ・営業資料)や翻訳費、DTP編集費用も補助対象となりやすく、初期の信頼構築に有効です。BtoB企業が海外のパートナーや顧客に自社の技術力や納品体制をわかりやすく伝えるためには、言語だけでなく「伝わる」デザインやストーリー性が求められます。これらを整備することで、オンライン商談でも信頼を得られる体制が整います。
4. 補助金申請の流れと注意点|はじめての海外展開でも安心
全国|補助金の申請ステップと期間の把握がカギ
多くの補助金制度は、「募集開始→事業計画提出→書類審査→採択決定→事業実施→報告書提出→補助金交付」という流れです。特に注意したいのが、「採択決定前に発注した費用は原則として補助対象外」という点です。つまり、申請前にECサイト制作や広告契約をしてしまうと補助金が受けられないため、スケジュール管理が非常に重要です。また、制度によって公募時期が異なり、年1回しか募集しない制度もあります。中小機構や商工会議所、JETROの無料相談を利用し、募集タイミングを逃さず準備しましょう。多くの企業が申請書類の準備に2〜3週間かけているため、早めの情報収集とスケジュール管理が成否を分けるポイントとなります。
中小機構・都道府県|採択されやすいポイントは「実現可能性」と「戦略性」
補助金申請で採択されやすい企業には共通点があります。それは、「なぜこの施策を行うのか」「誰に何を届けるのか」「どのように売上に繋げるのか」という一連のロジックが明確であることです。とくに海外販路開拓では、市場のニーズと自社製品の強みとのマッチング、現地パートナーの有無、実行体制やKPIの妥当性などが審査で問われます。補助金はあくまで「自社戦略を実現する手段」であるため、ビジネスの目的が主で、補助金が従であるという構図を崩してはいけません。中小機構や自治体が提供する事前相談・書類添削サービスを活用することで、未経験でも質の高い申請書をつくることが可能になります。書類の完成度だけでなく、背景にある「本気度」が審査に現れると心得ましょう。
全国|経費の対象外項目に注意|自費負担との境界線を確認
補助金には「何に使えるか」と同時に「何に使えないか」も明確に定められています。たとえば、社員の人件費、既存の運転資金、交際費、備品購入、設備投資(建物・車両)などは多くの補助金制度で対象外です。また、補助率が最大2/3の場合、残り1/3は自己負担となり、全額補助されるわけではありません。さらに、補助金の支払いは原則「後払い」です。つまり、まずは自社で費用を立て替え、事業終了後に報告書を提出してから補助金が交付されるため、キャッシュフローの計画が非常に重要です。入金までに数ヶ月を要するケースもあるため、事前に資金繰りの確認を行うことは必須です。「補助金ありき」で無理な計画を立てるのではなく、健全な財務の上で制度を活用する姿勢が成功につながります。
5. 海外販路開拓の第一歩は“補助金を知ること”から始まる]
費用面の壁は補助金で乗り越えられる
海外営業や越境ECを検討する企業の多くが直面するのが「予算の壁」です。翻訳、調査、広告、システム構築など、初期費用が想定以上に膨らみ、断念するケースも少なくありません。しかし補助金を活用すれば、その壁を現実的に突破できます。中小企業庁や各自治体、JETROなどが提供する補助金は最大500万円まで支援されることもあり、少額で海外展開に挑戦したい企業にとっては特に大きな力になります。さらに、補助金は単なる“お金の支援”ではなく、社内を巻き込んだ計画策定のきっかけにもなります。補助金を得るには戦略やKPIを定めた申請書が必要なため、自社の方針を整理する良い機会にもなります。費用面の不安を取り除きながら、組織として海外販路開拓に踏み出す起点として補助金を活用するのは非常に効果的です。
申請前に制度の特徴と対象経費をしっかり把握する
補助金制度には、制度ごとに異なる対象経費・上限金額・補助率・事業期間などの条件が細かく設定されています。たとえば「JAPANブランド育成支援等事業」は最大500万円・補助率2/3で、販促費や翻訳、広告までカバーされますが、東京都の「輸出スタート支援事業」は150万円が上限で、内容もやや限定されます。申請の前には、自社の目的に合う制度を選定し、対象となる経費を細かくリストアップする必要があります。さらに、申請時に「これも対象になると思っていたが、実は対象外だった」というケースも少なくありません。こうしたトラブルを避けるためにも、制度ごとの公募要領を隅々まで読み込み、必要であれば実施機関に事前相談を行うことが重要です。制度の全体像と細部を両方理解することが、無駄なく補助金を活用する第一歩です。
補助金は“戦略の手段”として活用する意識が重要
補助金は、もらうこと自体が目的ではありません。本来は、自社の中長期的な海外展開戦略を加速させるための“手段”であるべきです。たとえば、「中国市場で販路を築きたい」「ASEAN地域でリードを獲得したい」という明確な狙いがあってこそ、それに必要な翻訳や広告費、Web制作費に補助金を充てるという筋の通った申請が可能になります。逆に「補助金があるから何かやろう」という発想では、戦略がぼやけ、審査での評価も得られにくくなります。実際、採択率が高い企業ほど、補助金の有無に関係なく事業を進める意思と計画があり、補助金は“後押し”の位置づけとして活用しています。補助金を経営戦略の一部として自然に組み込み、自社の強みを活かした成長シナリオの中で役立てるという視点が、制度を味方にするためには不可欠です。