
海外営業の新常識!在日外国人インフルエンサーで読み解く生きた海外市場調査
目次
1. なぜ今、インフルエンサーが“海外市場調査”の対象になるのか?
データよりも「生活者の声」が求められる時代に
従来の海外市場調査では、政府統計や有料レポートが中心でした。しかし、現代ではそれらに加えて「リアルな生活者の声」からヒントを得る動きが広がっています。特に越境ECや海外営業の現場では、定量データだけでは測れない感覚的なニーズが重要です。インフルエンサーのSNS投稿は、母国のフォロワーからの反応を通じて、現地での受容性や文化的ギャップを直感的に把握できる貴重なリソース。今後の海外市場調査では、こうした“共感値”や“生活実感”に着目した分析がより求められるでしょう。
海外レポートでは拾えない“肌感覚のニーズ”
業界レポートが提供するのは“全体像”ですが、実際の購買行動やブランド選好の背景には、価値観や感性が大きく関わります。例えば「なぜその商品が刺さるのか?」という問いに答えるには、フォロワーのリアルなコメントや反応がヒントになります。とくにZ世代やα世代の消費傾向は、SNSを通じて形成・変化するため、インフルエンサーの影響力は無視できません。肌感覚に基づいた調査が必要な製品企画やローカライズ戦略において、インフルエンサー観察は実用的な補完手段となります。
インフルエンサーは“国別マーケティングの観察窓”
日本に住む外国人インフルエンサーは、母国やフォロワーの文化を意識して情報発信しており、言わば「現地感覚を翻訳してくれる存在」です。彼らの投稿は、どんな切り口がウケるのか、何が価値として受け入れられるのかを可視化してくれます。さらに、彼らに寄せられる質問やDMも、現地での製品理解度や期待の表れと考えられます。インフルエンサーを単なるPR手段ではなく、「マーケティングの観察窓」として活用することは、今後の海外市場調査において大きな武器となるでしょう。
2. なぜ在日インフルエンサーが“海外の目”になるのか?
発信先は母国や世界中のフォロワー
在日外国人インフルエンサーの多くは、日本の生活や商品、文化を自身の母国語または英語で発信しています。これは単なる個人の日常記録ではなく、母国や海外のフォロワーにとって“信頼できる現地レポート”として機能しているのが特徴です。彼らの投稿は、商品紹介や日常の出来事を通じて「日本発の商品がどう受け取られるか」をリアルに映し出します。特に越境ECや海外営業を考える製造業にとって、これらの投稿は、現地感覚を理解するための重要なフィルター。どの言葉で紹介されているか、どのような視点で切り取られているかに着目することで、翻訳では見えない価値観の違いに気付くことができます。
コメント欄は“現地マーケティングのヒント”の宝庫
インフルエンサーのSNSで見落としがちなのが、コメント欄に集まる「現地消費者のリアルな声」です。商品やサービスの紹介に対して寄せられる質問や意見は、潜在的な需要や課題のヒントになります。たとえば「これってどこで買えるの?」「うちの国にはないのが残念」といった声は、販売チャネルの不足や潜在ニーズの存在を示しています。また、ポジティブな反応だけでなく、文化的な違和感や誤解も重要な調査項目です。こうしたフィードバックを定点観測することで、言語では拾えない“温度感”を掴み、製品開発やプロモーション戦略に落とし込むことが可能です。
文化や価値観の翻訳者としての役割に注目
日本在住のインフルエンサーは、母国と日本の文化の“架け橋”として活動しており、単なるコンテンツ発信者ではなく、価値観の翻訳者でもあります。例えば、同じ商品でも「健康的」「かわいい」「シンプル」といった紹介の切り口が国によって異なり、それは市場の価値観や購買心理の違いを反映しています。彼らの視点を借りることで、現地の消費者にとって何が訴求ポイントになるかを可視化できます。これは、カタログ翻訳や機械翻訳では絶対に得られない情報です。越境ECにおける商品説明の書き方やSNS広告コピーの調整にも応用できる、実用的な“翻訳以上のインサイト”と言えるでしょう。
3. 海外市場調査に役立つ!注目インフルエンサー6選(事例紹介)
Akidearest|アニメ・ポップカルチャーから探る北米のZ世代トレンド
アメリカ出身のAkidearest(アキ)は、日本のアニメ、フィギュア、ゲームカルチャーを中心に発信する大人気YouTuberです。登録者数は200万人超。彼女の投稿に対するコメントは、英語圏の若者(Z世代)を中心とした“生の反応”であふれており、「どんな作品や商品に心が動くのか」「何に共感を覚えるのか」を探る市場調査の素材として非常に優れています。たとえばアニメグッズに対する「かわいさ」や「限定性」へのこだわりは、越境ECでの商品展開やパッケージデザインに活かせる視点です。海外営業・商品企画においては、Akidearestのようなインフルエンサーの発信とフォロワー反応を定点観測することが、Z世代に刺さる商品像を探る第一歩となります。
Paolo from TOKYO|生活×旅行×マナーの視点で見るインバウンド観光ニーズ
Paoloは日本在住20年のアメリカ人YouTuberで、登録者数300万人超の大人気チャンネルを運営しています。彼の動画は、東京の1日密着ルポから地方旅行、マナー紹介まで幅広く、「日本のリアルな生活体験」を求める視聴者に支持されています。特に観光・飲食・サービス業において、Paoloの動画コメントは貴重なインバウンド市場調査ツールです。「この駅弁を食べてみたい」「この旅館の対応がすごい」といった声からは、訪日外国人が期待する体験価値やサービスレベルが明確に見えてきます。外国人に向けた訴求内容の検討にも活用でき、BtoCの営業・プロモーション設計にも活かせます。
ONLY in JAPAN|地方観光と伝統文化への“海外の目”を可視化するドキュメンタリー型調査源
「ONLY in JAPAN」は、アメリカ出身のJohn Daub氏が運営するドキュメンタリー型YouTubeチャンネルです。日本の祭り、地方のものづくり、食文化などを映像とナレーションで丁寧に紹介し、英語圏を中心に多くの視聴者を持っています。コメント欄には「この文化に感動した」「旅行で訪れたい」といった声が並び、地方観光資源や伝統産業に対する海外の評価を読み取ることができます。伝統技術や職人製品などを扱う製造業にとって、どういった切り口で興味を持ってもらえるかのヒントが詰まっています。ローカル発信をグローバルに翻訳する方法を知るうえで有益です。
Tokidoki Traveller|かわいい文化&女性向け日用品の越境ヒントが見える投稿群
オーストラリア出身のTokidoki Traveller(エマ)は、日本の“かわいい文化”や雑貨、コンビニグルメなど、日常目線のテーマを英語で発信する人気インフルエンサーです。若い女性を中心に支持されており、コメント欄には「これ欲しい!」「パッケージがかわいい」といった越境ECに直結する反応が並びます。商品企画において、何が“シェアしたくなる可愛さ”なのかを判断する材料となり、感性マーケティングにも活用可能。日本では日用品でも、海外ではギフト需要があるなど、市場ポジショニングの再発見にも役立ちます。
Klara Blanc|欧州市場をにらんだブランド・商品ローカライズの実地リサーチとして
フランス出身でモデル・ブランドプロデューサーでもあるKlaraは、日本発のジュエリーやライフスタイル商品をフランス語・英語・日本語で発信しています。彼女の投稿は、ヨーロッパ圏の感性で日本製品をどのように評価・受容しているかを映し出す実例です。「洗練されてる」「自然素材が魅力的」といった反応は、欧州市場の評価軸を示しています。自社商品が欧州でどう映るかを事前に推察できるため、海外営業やローカライズ戦略における“翻訳前の調査”として活用価値が高い存在です。
YONA|韓国人の等身大の日常からアジア圏ニーズを拾う“生活密着型インサイト”の宝庫
韓国出身のYONAは、日本でのリアルな一人暮らしや生活雑貨、美容アイテムなどを韓国語で発信するインフルエンサーです。韓国の女性層から「この商品が気になる」「部屋の雰囲気が真似したい」といったコメントが集まり、日本製品に対する期待と課題を両面で把握することができます。韓国市場に製品を展開したい製造業やEC担当者にとって、彼女の発信は生活文脈における“刺さる要素”を探る貴重なデータ源。アジア圏市場でのSNS調査の実践例としても参考になります
4. BtoB・BtoC問わず、製造業こそ使える“インフルエンサー観察”という海外市場調査法
コメント分析・人気投稿テーマをどう読むか
インフルエンサーの投稿には、見込み客に近い層からのコメントが集まります。特に製造業にとって重要なのは、「この製品がなぜ好かれているのか」「どう使われているのか」といった使い方や印象に関する声です。「素材が気持ちいい」「サイズ感がちょうどいい」といったコメントは製品改良のヒントになり、人気投稿のテーマからはユーザーの関心領域を推測できます。SNS調査はアンケートをせずに定性的インサイトを得られる手段として、営業企画や商品開発に有効です。
ローカライズ・商品改善に活かす方法
製造業が海外展開を図る際、単なる翻訳では伝わらない“文化的な違和感”が商機を左右します。たとえば「派手すぎる色は苦手」「表示が読みづらい」といったコメントから、現地の感覚を読み取ることができます。これは商品パッケージや説明書、広告コピーの調整に直結します。インフルエンサーが実際に使い、その様子を紹介する中で見えてくる気づきは、海外営業チームの仮説検証や改善施策の重要な足がかりになります。
越境EC・海外営業での活用ステップ(事例つき)
越境ECや海外営業でインフルエンサー投稿を調査目的で活用するには、①ターゲット国の影響力ある発信者をリストアップ、②その投稿テーマや反応を定点観察、③ニーズの仮説を立て、④商品仕様・販促戦略に落とし込む、というステップが有効です。たとえば、美容家電メーカーが韓国向けに“肌にやさしい”を前面に打ち出した結果、現地広告のCVRが3倍に改善した事例もあります。SNS投稿の観察は、海外営業における“現地理解”の手段として、もはや必須といえるでしょう。