
“抹茶ラテ好き”は狙い目?スタバと現地カフェで読み解く海外市場調査の新視点
目次
1. スタバで探る“嗜好の翻訳”という視点
スターバックスのローカル限定メニューは“市場調査の宝庫”
スターバックスは世界中で展開しているグローバルブランドですが、実は各国で販売されているメニューは微妙に異なります。例えば韓国では黒ごま抹茶フラペチーノ、シンガポールではパンナコッタ抹茶ラテなど、地域ごとの味覚や文化を反映した限定商品が並びます。これらは企業が「現地に何が受け入れられるか」を調査した結果として企画されており、海外市場調査の生きた事例といえます。特に限定商品の投入時期や反応を分析すれば、現地ユーザーの味覚、季節性、トレンド志向を定量的に把握する手がかりになります。SNSの拡散状況と組み合わせれば、仮説検証型リサーチとしての精度も高まります。
抹茶ラテはなぜ“日本ブランド”で好まれるのか?
抹茶ラテが海外で一定の人気を保ち続けている理由のひとつは、「日本らしさ」の象徴として消費されている点です。特に欧米圏では、抹茶=ZEN=健康=上質といった連想が成り立ち、価格が高くても付加価値が認識されやすい傾向があります。これは単なる味覚の受容ではなく、文化的背景と結びついた価値の翻訳です。海外市場調査では、商品の機能性だけでなく、その商品が何を象徴するのかを言語や広告、ビジュアルから読み解く力が求められます。抹茶ラテの成功は、文化的価値を活かしたグローバル展開の好例なのです。
“飲まれる理由”から読み解く国ごとの消費動機の違い
同じ商品でも、なぜそれが飲まれるかは国によって大きく異なります。アメリカでは抹茶ラテは”健康によい代替飲料”として認識されており、砂糖の摂取を抑えつつカフェインも得られるヘルシーアイテムと見なされています。一方、インドネシアやベトナムでは“ちょっとした贅沢”として週末や特別な日に消費されることが多く、味よりもブランドや見た目に価値を感じているユーザーが目立ちます。海外市場調査では、こうした「なぜ選ばれるのか」の動機分析が欠かせません。国ごとの文化、経済環境、SNS文化などを総合的に読み解く視点が必要です。
2. ローカルチェーンの人気商品は“現地文化の鏡”
フィリピンの「Bo’s Coffee」から読み解く国産回帰と誇りの市場
フィリピンのBo’s Coffeeは、国内産の豆を使い“国の誇り”を前面に押し出したローカルチェーンです。これは単なるカフェではなく、“地元の味を守る”という消費者意識と結びついたブランド戦略の成果です。海外市場調査においてこのようなローカルブランドの成長要因を分析することは、現地消費者が求める“物語性”や“倫理性”を把握するのに有効です。サステナブル、フェアトレード、地産地消といった価値観が、どれほど市場形成に影響を与えているかは、こうしたローカルチェーンの動向にこそ現れます。
ベトナムの「Highlands Coffee」は“甘党天国”?
ベトナムのHighlands Coffeeでは、コンデンスミルクたっぷりのベトナムコーヒーや砂糖をふんだんに使ったフラペチーノ風のドリンクが若者を中心に人気です。ここでは「甘さ」は安心感や満足感の象徴であり、苦味や酸味は比較的敬遠されがちです。このような味の好みは、その国の生活環境、労働習慣、気候とも密接に関わっており、単なる“味覚”にとどまりません。海外市場調査で甘味嗜好の国と辛味嗜好の国を比較することで、飲料だけでなくお菓子、調味料、香料の市場予測にも応用可能です。
ローカルチェーンのメニューは“値段感覚”のバロメーター
ローカルカフェチェーンの価格設定は、その国の中間層・若年層の“日常消費”の感覚を最も反映しています。たとえばインドネシアのKopi Kenanganでは、コーヒー1杯が日本円で約200〜300円と、現地の交通費やランチ代とバランスの取れた価格帯です。こうした情報は、製品の価格戦略を立てるうえで極めて実践的です。海外市場調査では「物価水準」だけではなく、「消費者が何にいくら使うか」という“心理的価格帯”の理解が必要不可欠です。カフェメニューはその入り口として優秀な指標です。
3. SNSで読み解く“ドリンクから始まる”海外市場調査
Instagramで人気の“抹茶系ハッシュタグ”からターゲットを探す
SNSでの投稿数は“今”を反映するリアルなデータです。Instagramで「#matchalatte」「#greentea」「#japanesedrink」などのタグを国別に検索すると、どの地域でどのように抹茶が語られているかが分かります。欧州では「オーガニック」「ヘルシー」「ミニマル」などの文脈、東南アジアでは「映える」「おしゃれカフェ巡り」などの傾向が見られ、同じ商品でも消費価値が異なります。海外市場調査においては、このような“タグ文化”の観察が、ニーズの粒度を高める上で非常に有効です。
TikTokでは“飲み方”が文化を語る?行動観察的アプローチ
TikTokで流行している「飲み物の見せ方」「混ぜ方」「飲む瞬間」などの短尺動画には、文化的な価値観が色濃く出ます。アメリカではDIY風に自宅で抹茶ラテを作る様子が好まれ、中国では見た目の美しさを重視する傾向が強く、タイでは“友達とシェア”することが動画の中心になります。こうした行動を通じて、国ごとに「飲むことの意味」が異なることが見えてきます。海外市場調査では、このような行動観察型の視点が、生活様式を捉えるうえでの有効な手段になります。
SNSレビューから“味覚評価の言語化”を学ぶ
SNSでユーザーが飲み物について発信する際に使う言葉には、味覚の文化的なとらえ方が反映されています。英語圏では「earthy」「creamy」「smooth」などの感覚的な表現が多用され、日本語よりも主観的なレビューが好まれる傾向があります。レビュー言語を読み解くことは、現地向けパッケージやコピーライティングにも応用可能です。海外市場調査では、こうしたレビューの語彙やトーンを分析することで、消費者の感性に合わせた訴求ポイントを明確にできるのです。
4. 飲み物リサーチから始める“次の一手”【まとめ】
“飲料が売れる国”は他の感性商材にも可能性あり
ある国で抹茶ラテが流行しているという事実は、単に飲料の市場性にとどまりません。その背後には“見た目の美しさを評価する文化”“自然派志向”など、他のカテゴリにも応用できる感性が存在します。たとえばアロマオイル、和雑貨、スキンケアなどの感性商材を展開したい場合、抹茶ラテ人気国はポテンシャルの高い市場候補といえます。海外市場調査では“飲まれる理由”や“求められる世界観”を抽象化し、他業種に転用する発想力が求められます。
カフェ文化の浸透度=リアルな“余裕”のバロメーター
カフェに人が集まり、長時間過ごす文化がある国では、日常生活に“余白”が存在していると言えます。こうした国では、嗜好品や自己表現型の商品が受け入れられやすくなります。特に中価格帯以上の商品を扱う場合、この“可処分感情”の存在が成功要因になり得ます。海外市場調査では、購買力の分析だけでなく、「人々が自分のために時間とお金を使える文化か」を観察することも重要です。カフェ文化はその見極めポイントのひとつです。
“飲み物データ”をGoogleトレンドで定点観測する方法
Googleトレンドを使えば、「matcha latte」「bubble tea」などの検索トレンドを国別・地域別で可視化できます。これにより、現地の季節ごとの関心、言語による表記揺れ、流行語の出現タイミングなどを細かく追うことができます。海外市場調査では、このような無料ツールを活用した“定点観測”が、リソースをかけずにできる戦略立案の出発点になります。特に予算が限られている中小企業やスタートアップにとっては、価値の高い手法となるでしょう。