
万博の人気キャラ“ミャクミャク”誕生秘話に学ぶ!海外営業に必要な「物語性」とは?
目次
1. ミャクミャク誕生の裏側にあった“物語設計”とは?
なぜ「変なキャラ」が選ばれたのか?
2025年の大阪・関西万博は、世界中からの注目を集めるグローバルイベントです。企業が海外顧客開拓やBtoB営業のチャンスとして期待を寄せる中、ひときわ異彩を放つ存在が公式キャラクター「ミャクミャク」です。発表当初は「変すぎる」と賛否を呼びましたが、いまや万博を象徴する存在に成長しました。この流れには、海外営業やマーケティングにも通じる“第一印象”の重要性があります。印象に残ること、そしてその背景に意味があること。この2つを備えたキャラクターは、まさにブランドとして設計された存在です。単なる奇抜さではなく、語れる背景がある存在こそ、海外の商談でも選ばれる要素となります。
デザイナー・シマダタモツ氏の“意図ある混沌”
ミャクミャクをデザインしたのは、アーティストのシマダタモツ氏。「完成されたキャラではなく、進化の途中のような存在にしたかった」と語っています。これは、海外営業の現場でも通じる視点です。完成品だけを見せるのではなく、「この製品は今後どう発展していくか」「なぜ今この市場に挑戦しているのか」といった話があることで、海外のBtoB顧客は企業の姿勢に関心を持ちます。つまり、商談相手にとっては“製品そのもの”だけでなく、その背後にある意図や戦略にこそ信頼を寄せるのです。ミャクミャクのように、“未完成だからこそ興味を持たれる存在”であることが、差別化の要素になります。
「水脈」と「命のリレー」──キャラクターに込められた思想
ミャクミャクのモチーフには、大阪の地下に広がる水脈、そして“いのちのつながり”というテーマがあります。これは万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」と深く結びついています。ただの可愛いキャラクターではなく、社会的な意義を担う存在として設計されているのです。この構造は、海外営業においても応用できます。海外市場調査を重ねたうえで、自社製品がその国のどんな課題とつながるのかを語れるかどうか。それにより、商談相手にとって“社会的に意味のある製品・企業”として映ります。単なる製品PRではなく、“事業の存在意義”まで伝えられる企業こそ、信頼され、選ばれていきます。
2. 海外営業でも重要な“物語性”──モノではなく意義を売る
機能説明だけでは刺さらない時代
技術力や製品スペックに自信がある日本企業でも、海外営業では苦戦するケースがあります。その理由の一つが「説明はうまいけど、なぜそれをやっているかが伝わらない」こと。海外のバイヤーやパートナー企業は、製品の機能だけでなく、それを提供する“理由”に注目しています。越境ECや海外デジタルマーケティングでも、単なる性能訴求ではなく、背景や使命感が共感されるケースが増えています。製品の品質や納期だけでなく、「この製品は何のためにあるのか」「この会社は何を目指しているのか」。その物語こそが、海外市場で競合と差をつけるポイントです。
「この会社、覚えてる」につながるストーリーの力
海外営業は一度きりの接点では終わりません。特に展示会や万博のような大規模イベントでは、1日に何十社と出会う中で“印象に残る営業”をすることが極めて重要です。ミャクミャクがそのユニークな世界観で多くの人の記憶に残っていったように、営業担当者自身も「この人、印象的だった」と思われる存在になれるかどうかが大切です。それには、自社の話を単なるカタログのように伝えるのではなく、「なぜこの市場で勝負しているのか」「開発の裏にある想い」といった背景を語ることが有効です。語れる“ストーリー”がある営業は、名刺交換の数週間後でも思い出され、次の連絡につながります。
商談で語るべきは“スペック”より“背景”
商談で「どのくらいの耐久性ですか?」「価格は?」という話が出るのは当然です。しかし、そこだけに終始してしまうと、相手の記憶には残りにくくなります。特にBtoB営業では、“なぜ自社がこの製品に取り組んでいるのか”という背景が語れることが、信頼構築につながります。大阪万博に出展する企業も、製品やサービスの先にあるビジョンや社会的意義を発信する準備を進めています。営業も同様に、「この製品が社会や現場にどう貢献するか」を、論理的かつ情緒的に語れるようにすることで、価格競争を超えた価値提供が可能になります。海外顧客との信頼構築には、“想い”が必要です。
3. 印象に残る営業とは?ミャクミャク的“キャラ立ち”のヒント
第一印象は“見た目”だけで決まらない
海外営業の場面では、見た目や言語能力が第一印象を左右すると考えられがちです。しかし、本当に印象を決めるのは「どんな話をしたか」「どんな価値を提供しようとしていたか」です。ミャクミャクも最初は“奇抜”と評価されましたが、背景を知ることで“魅力的な存在”に変わっていきました。同じように、営業担当者も“語れる背景”を持っていると、その存在感が変わります。たとえば、展示会で渡したパンフレットに、自社の挑戦や信念が書かれているかどうか。営業でありながら“ブランドの語り手”であること。それが、第一印象を“記憶”に変える力になります。
ブランドと営業担当者の“世界観の一致”
海外BtoB営業では、商談相手が担当者を通して企業全体を見ているケースが多くあります。そのため、営業担当者が会社の世界観やビジョンを理解し、それに沿った語りができるかどうかが重要です。ミャクミャクが万博のテーマと一体化しているように、営業も「企業の人格」としての側面を持ちます。製品知識だけでなく、なぜその市場に取り組んでいるのか、企業としてどんな未来を描いているのか。それらを自分の言葉で語ることができる営業は、単なる取引相手ではなく、ビジネスパートナーとしての信頼を得る存在になります。個人のスタイルと企業のブランドが調和していることが、海外営業の成果を左右します。
海外顧客にも響く「共感軸」のつくり方
言語や文化の壁を越えて、海外の顧客と心を通わせるためには、「共感軸」が必要です。それは、自社の価値をグローバルな文脈で翻訳し、相手の課題や理想と接点を持たせることです。たとえば「持続可能性」「安心・安全」「人と技術の調和」といったキーワードは、万博のテーマとも通じるユニバーサルな価値観です。営業の現場でも、「この製品はなぜ生まれたか」「誰のためにあるのか」といった問いを言語化し、語ることで、文化の違いを超えた信頼が育ちます。共感はスペックでは生まれません。語り方と、背景のストーリーが、顧客の心に届くかどうかを左右します。
4. まとめ──営業活動にも“物語”を。ミャクミャクに学ぶ差別化戦略
なぜあなた(の会社)から買うべきか?
万博という国際舞台に向けて、企業がメッセージをどう設計するかが問われています。それは海外営業においても同じです。製品の比較ではなく、「なぜその会社と取引するのか」が重視されるようになっています。その答えは、“物語性”の中にあります。ミャクミャクが“よくわからないけど気になる存在”から、“ちゃんと意味がある象徴”として認知されていったように、企業や営業担当者も「語れる背景」を持つことで、取引の候補として浮上していきます。価格や納期を超えて、「意味があるから選ばれる」。それが、今後の海外営業に必要な姿勢です。
展示会・SNS・資料にストーリーを宿す工夫
企業が出展する万博や展示会、あるいはWebマーケティングにおいても、“どこかで見たことある”資料や広告では印象に残りません。SNS投稿、営業資料、ニュースレター、製品紹介ページ─すべてに「背景」が必要です。製品スペックの説明だけでなく、なぜそれを開発したのか、どんな社会課題を解決しようとしているのか。そうした情報が加わるだけで、資料は“営業ツール”から“ブランドストーリーの一部”になります。海外市場での顧客開拓においては、競合との差を感じさせるこうした“設計された伝え方”が、受注にも大きく影響します。
営業×クリエイティブで未来をつかむ
海外営業は、論理と数値だけの勝負ではありません。むしろ、どれだけ「共感される存在」になれるかで、その後の展開が変わってきます。ミャクミャクというキャラクターが証明したのは、背景のある存在は、人の心に残るということ。そしてそれが、ビジネスにも活かせるということです。営業活動も同じです。ただ売るのではなく、“自分たちの考えや姿勢をどう伝えるか”を工夫すること。戦略だけでなく、創造的な表現力が問われる時代において、物語のある営業こそが、海外BtoB市場で選ばれる存在になっていくのです。