
世界で売れた!越境ECで大成功した日本のBtoB企業5選【製造業・原料メーカー中心】
目次
オムロン|グローバル制御機器メーカーの越境EC展開
世界130ヵ国に広がる販売網と越境EC施策
“日本発・世界ブランド”オムロンは、すでに世界130ヵ国以上にビジネスを広げています。制御機器や電子部品分野で確立した信頼をベースに、各国現地法人や営業網を駆使して法人取引を拡大。さらにデジタル化にも対応し、中国をはじめとする新興国市場では越境ECモール出店による販路開拓にも着手しました。単なる代理店販売に頼らず、オンラインチャネルでダイレクトに顧客と繋がる仕組みを強化し、グローバルにBtoB商圏を広げています。越境ECの活用により、これまでリーチできなかった中小企業や地方都市の法人需要も拾い上げ、ブランド認知と売上拡大を同時に実現しています。
京東(JD.com)活用で中国市場を攻略
世界最大級のオンラインマーケット、京東(JD.com)を舞台に、オムロンは中国市場で越境EC戦略を本格化させました。体温計や血圧計など、医療・健康機器カテゴリで高い認知度を獲得。これにより、現地法人の営業網だけでは拾いきれない地方都市や中小法人へのアプローチが可能になりました。特に中国では、信用できる日本製品へのニーズが高く、オムロンは“安心の日本ブランド”としてポジションを確立。越境ECを使うことで、販売だけでなくリアルタイムでの顧客レビュー収集も可能になり、商品改善や新規開発にも役立てています。
高品質×現地密着が支えるBtoB取引の拡大
海外営業で重要なのは、単なる製品供給ではなく「現地密着型のサービス提供」。オムロンは世界各地に設置した現地法人を通じて、きめ細かいサポート体制を築いてきました。さらに、越境ECを活用することで新たな顧客層へのリーチとオンラインチャネルでの受注体制も強化。製造業BtoB市場においても、オンラインとオフラインを融合した新しい営業モデルを構築し、競合他社との差別化に成功しています。品質×現地対応×越境EC。この三本柱で、オムロンのBtoB海外営業は確実に拡大しています。
SMC|空圧機器世界シェアNo.1のグローバル直販モデル
直販体制で顧客ニーズを徹底把握
世界シェアNo.1、空圧機器のリーディングカンパニーSMC。最大の武器は、7,000名超の直販営業部隊を自前で持つことです。現地法人の営業担当者が直接エンドユーザーに訪問し、ニーズを拾い上げることで、高精度な提案と迅速な納品を可能にしています。代理店任せにせず、顧客ニーズを肌感覚で捉える体制こそ、SMCの海外営業戦略の根幹。BtoB取引でも、きめ細やかな対応とスピード感が求められる時代。直販を強みに、SMCは越境ECとリアル営業を融合させ、世界市場でのプレゼンスをさらに高めています。
越境EC対応とグローバルIT活用戦略
製造業BtoB取引でも、デジタル化は不可避。SMCは早期からグローバルIT基盤を整え、オンライン受発注や在庫管理を強化してきました。最近では一部製品の越境EC販売もスタートし、小口ニーズにも素早く応える体制を整備。さらに、CADデータのダウンロードや製品選定システムのオンライン提供など、顧客体験向上にも力を入れています。デジタルとリアル営業のハイブリッド戦略を進めることで、SMCは越境ECをBtoB販路拡大の新たな武器に育て上げつつあります。
海外売上8割超、空圧機器で世界制覇へ
SMCはすでに売上の8割以上を海外市場で稼ぎ出すグローバルメーカーへと成長しています。北米・欧州・中国・アジアの主要市場を押さえつつ、今後はインドや東南アジアなど新興国市場への展開も加速予定。海外製造業の工場自動化ニーズの高まりに合わせ、空圧機器分野で圧倒的な存在感を発揮しています。越境ECによる販路拡大も後押しし、SMCは“世界中どこでもSMC製品が手に入る”時代を実現しようとしています。
キーエンス|高付加価値製品と越境EC新事業で加速
直販・高収益モデルが支える海外展開
「営業利益率50%超」の異次元収益力を誇るキーエンス。その強さは、直販体制によるスピード営業と高付加価値製品にあります。製造業のBtoB市場では、単なる価格競争では勝てません。キーエンスは顧客企業の課題を深く掘り下げ、高単価でも価値ある提案を行う営業スタイルで、海外市場を拡大。世界46か国、250拠点以上に展開し、海外売上比率は6割超。越境ECへの新事業参入も、この直販DNAを武器にした挑戦です。
法人向け新プラットフォーム「MAKERZ」開始
キーエンスが新たに打ち出した越境EC戦略が、法人向け総合プラットフォーム「MAKERZ」。自社製品に限定せず、世界中のFA機器を集めて販売するマーケットプレイス型ビジネスモデルです。これにより、キーエンス営業網が届かなかった中小製造業・海外法人層にもリーチを拡大。従来の直販スタイルとは異なる新たな挑戦ですが、デジタルを味方につけたBtoB販路拡大の大きな一手となるでしょう。
デジタルで世界の製造業を支援する戦略
キーエンスの越境EC新事業は、単なる“商品を売る場”にとどまりません。膨大な購買データをもとに、製造業の購買行動やニーズを可視化し、さらに高度な提案型営業へとつなげる布石です。越境ECを単なるチャネルとして捉えるのではなく、データドリブンなBtoBビジネス変革の武器にする。キーエンス流のグローバル展開は、製造業の海外営業のあり方自体をアップデートしようとしています。
角利産業|伝統工具を越境ECで世界へ届けた挑戦
老舗工具メーカーが自社越境ECに挑戦
「伝統を、世界へ。」1946年創業の老舗工具メーカー・角利産業は、コロナ禍を機に自社越境ECに挑戦しました。海外展示会もリアル営業も困難な状況下、英語圏に向けた直販サイト「Kakuri」を立ち上げ、世界の職人やDIYファンに直接リーチ。単なる製品カタログだけでなく、鋸や鉋の使い方、メンテナンス方法まで丁寧にコンテンツ発信し、“和の手仕事”の価値を世界に伝えています。越境EC活用によって、伝統工芸のBtoB販路開拓にも成功しています。
職人文化のストーリー発信とコミュニティ形成
世界中の職人たちは、単に道具を買いたいのではありません。「どんな背景で作られているのか」「なぜその道具が優れているのか」を知りたいのです。角利産業はこの心理を読み、製品のスペック説明以上に“日本の職人文化”を丁寧にストーリー化して発信。結果、米国やヨーロッパを中心に熱心なファン層を獲得。オンライン上にコミュニティが生まれ、BtoB問合せ(卸・代理店希望)も急増するなど、越境ECによる顧客開拓の好循環が生まれています。
ニッチ市場開拓でBtoB引き合いも増加中
ニッチ市場だからこそ、越境ECは大きな武器になる──角利産業はそれを証明しました。木工工具という専門性の高い商品は、大手ECモールでは埋もれがち。しかし自社越境ECサイトなら、独自の世界観とストーリーで深い理解者を惹きつけられます。実際、BtoC個人購入だけでなく、「自社店舗で販売したい」「OEM供給できないか」といった海外法人からの引き合いも急増中。ニッチBtoB市場を越境ECで切り拓いた好例です。
まとめ|BtoB越境EC成功に共通する3つのポイント
現地ニーズへの柔軟な最適化
海外営業で成果を上げる企業に共通しているのは、現地市場への“寄り添い力”です。ただモノを売るだけでは海外BtoB市場は攻略できません。オムロンのように現地法人による細やかなサポート体制を作ったり、角利産業のようにターゲット文化に合わせたストーリー発信を行ったり。越境ECにおいても、国・地域ごとの商習慣やニーズを読み解き、柔軟に最適化できる企業が、世界で愛されるブランドを築いています。
デジタル活用による販路拡大
製造業でも、BtoB取引でも、今やデジタルシフトは不可避。越境ECは単なる通販チャネルではなく、新たな営業戦略そのものです。SMCやキーエンスのように、自社プラットフォームやグローバルIT基盤を駆使して受注・サポートを効率化する流れが加速中。今後は、海外営業も“訪問+デジタル”のハイブリッド型が主流になります。越境ECを活かし、世界中から直接受注できる体制を作ることが、勝ち残る条件になっています。
商品力+信頼構築が世界で通用する理由
世界で売れる日本のBtoB企業に共通しているのは、「確かな商品力」と「顧客との信頼構築」です。オムロン、SMC、キーエンス──どの企業も、高品質・高性能という武器を持ちながら、単なる取引で終わらないパートナー関係を築いています。越境ECでも同じ。単に商品を売るだけでなく、購入後のサポートや文化的な背景まで発信し、顧客との長期的な信頼を積み重ねること。それこそが、世界市場でBtoBビジネスを拡大する最大の秘訣です。