
「攻め」と「受け」を使い分け!プッシュ型×プル型で始める海外営業の新テクニック
目次
1. なぜ今“攻め”と“受け”の両立が必要なのか?
展示会と代理店頼みの海外営業が抱える限界とは
「展示会や代理店頼みでは、思うように成果が出ない」。多くのBtoB企業の海外営業担当者と接する中で、そう語る方が非常に多いと、中島嘉一(コスパ・テクノロジーズ代表)は話しています。準備や出展費用に対するリターンが見えにくく、代理店任せでは戦略的な営業活動が難しいという声も増えています。紹介や偶然の出会いに頼る方法だけでは、継続的な商談創出にはつながりません。一方で、デジタル営業を活用すれば、狙いたい相手に継続的に接点を持ち続けることが可能になります。時間やコストを抑えながら、成果の再現性を高める仕組みづくりが、これからの海外営業において求められています。
海外顧客の購買行動はこう変わった
BtoBの分野でも、海外顧客の購買行動は大きく変化しています。情報収集の第一歩は、展示会ではなくWeb検索です。製品の性能や実績、企業の信頼性などをオンラインで確認し、自社に合うと判断された場合にのみ、問い合わせや商談へと進みます。つまり、見つけてもらえなければ、検討対象にもなりません。営業の前に、まず“評価される状態”を整えることが重要です。発信する情報の質や構造によって、初期段階で選ばれるかどうかが左右されます。今後の海外営業では、直接的な営業活動だけでなく、検索経由での間接的な評価も重視される時代になっています。
「自社に来てもらう」から「自らアプローチする」時代へ
問い合わせを待つだけでは、出会える顧客の数に限りがあります。Web検索に引っかからなかった企業や、ニーズがまだ表面化していない企業、そもそも自社の存在を知らない企業には、従来の“受け”の姿勢ではアプローチできません。そこで注目されているのが、LinkedInのSales NavigatorやAroundDealなどを活用したプッシュ型の営業です。ターゲット企業やその決裁者をリスト化し、ダイレクトにアプローチすることで、より戦略的な営業が可能になります。“攻め”と“受け”の両方を仕組み化することで、海外営業における接点を増やし、成果につながる確度を高めることができます。
2. プッシュ型営業とは?ChatGPT×LinkedInで攻めの仕組みをつくる
ChatGPTでたった15分、市場と顧客の解像度を一気に高める
これまで市場調査や企業分析には、多くの時間と労力がかかっていました。ですが、ChatGPTを活用することで、調査のスピードと質の両方を飛躍的に高めることができます。ターゲットとなる業界の動向、競合との違い、個別企業の課題や戦略的な方向性などを、15分程度で整理することが可能です。営業担当者が一から情報を探すよりも短時間で、なおかつ深い理解に基づいた準備ができます。短時間で解像度の高い情報を得ることで、営業の初期アプローチの質が格段に向上します。単なるツールではなく、戦略の土台を支えるリサーチパートナーとして、AIの活用が広がっています。
Sales Navigator×AroundDealで見込み顧客を特定する方法
プッシュ型営業の第一歩は、誰にアプローチすべきかを明確にすることです。LinkedInのSales Navigatorでは、業種や地域、企業規模、役職など多彩な条件で検索ができ、ターゲット企業の決裁者を効率よくリスト化できます。さらに、AroundDealを併用することで、氏名・会社名だけでなく、個別のメールアドレスや電話番号といった直接の連絡手段も取得可能です。これにより、架電やフォーム経由ではリーチしにくい海外企業のキーマンにも、ダイレクトに接触できます。事前に企業情報を整理しながら、対象企業の“中の人”にアプローチできるこの組み合わせは、極めて実践的な武器になります。
InMail・DMで決裁者に直接アプローチする戦術
営業の成功率を高めるためには、決裁者に直接アプローチできるチャネルを持っていることが重要です。LinkedInでは、InMailという機能を使って、つながっていない相手にも直接メッセージを送ることができます。中でも、簡潔かつ相手の立場を考慮したパーソナライズされたメッセージは、通常の営業メールと比べて開封率が高く、返信を得られる確率も高まります。さらに、AroundDealで取得したメールアドレスを使って、企業ドメイン宛ではなく個人宛に連絡することで、より柔軟で確実な接点を持つことが可能です。フォーム入力や代表メールに比べ、意思決定に近い層へ直接届くこの方法は、成果につながりやすい戦術の一つです。
3. プル型営業とは?SEO×Web×広告で問い合わせを呼び込む
生成AIで量産するSEO記事、狙うべきは「ロングテール戦略」
問い合わせを受ける仕組みづくりには、Web上での自然流入をいかに増やすかが重要です。その中でも効果的なのが、検索エンジン経由の流入を狙うSEOコンテンツです。特にニッチな課題や専門ワードでの検索に対応する「ロングテール戦略」は、BtoBにおいて高い効果を発揮します。生成AIを活用すれば、短期間で多くの記事を作成でき、人的リソースを抑えつつ継続的な発信が可能です。アクセス解析でヒットワードを分析しながら、記事内容を改善するサイクルを回すことで、リード獲得の可能性を広げられます。単なる記事ではなく、“問い合わせの入り口”となる設計が鍵を握ります。
回遊率UP・CV率UPのためのグローバルサイト設計術
SEOや広告で集客できても、サイト内での体験が不十分だとすぐに離脱されてしまいます。そのため、グローバルサイトは訪問者にとって「安心感」と「わかりやすさ」が求められます。言語はもちろん、デザインや導線、掲載情報の順序も含めて、ターゲット市場ごとにローカライズされた構成にすることが大切です。導入事例やFAQ、業界用語の説明などを設けることで、検討段階の顧客にとっても有益な情報源となります。また、問い合わせフォームやチャットボットの設置により、行動を後押しする設計も有効です。単なる見た目ではなく、“信頼される構造”を意識した設計が必要です。
リスティング広告やプレスリリースでの流入強化法
中長期的にはSEOでの流入が効果的ですが、短期で成果を出したい場合はリスティング広告やプレスリリースの活用も有効です。検索連動型広告であれば、業界名や製品カテゴリなどのキーワードで今まさに情報を探している顧客に対してリーチできます。さらに、海外向けに対応したグローバルPR配信サービスを活用すれば、特定地域での認知度アップや製品発表の周知も可能です。どちらも目的に応じて予算を調整できるため、成果に直結しやすい手段と言えます。SEOと組み合わせて運用することで、指名検索を生み出すサイクルを構築し、より確度の高い流入につなげることができます。
4. ハイブリッド型が最強|プッシュ×プルの連携で成果を加速する
流入した企業を特定してアウトバウンドに接続する方法
Webサイトに訪れた企業を可視化できれば、そこからのアウトバウンド営業が可能になります。例えば、アクセス解析ツールとAroundDealを連携させることで、どの企業がサイトを訪れているかを特定し、訪問企業の担当者に対してLinkedInやメールでアプローチを行うことができます。問い合わせがなかったとしても、「興味があるかもしれない企業」としてリストに追加できる点も強みです。このプロセスは、流入経路が不明確な状態と比べて、営業リソースの使い方を最適化することができます。プル型で得た気配を、プッシュ型で“確かめに行く”という連携が、成果につながる打ち手になります。
アクセス解析×営業DMの連携で“営業漏れ”を防ぐ
営業活動の効果を高めるには、アクセスデータの活用が不可欠です。Google AnalyticsやLooker Studioを活用すれば、流入元や閲覧ページ、国別の傾向などを把握することができます。たとえば、ある特定の業界からの訪問が増えている場合、同業他社へのアウトリーチを強化するなど、営業方針を柔軟に調整できます。また、広告やSEOの流入結果と連携して「どのワードで入ってきた企業に営業すべきか」といった判断も可能です。これにより、Webと営業が切り離されず、ひとつの戦略として連動していきます。見込み顧客の見落としを防ぎ、確度の高い接点を生み出せる仕組みが構築できます。
一方通行にならないナーチャリング戦略とは?
一度接点を持った見込み顧客も、すぐに商談化するとは限りません。そこで重要になるのが、継続的に関係性を構築する「ナーチャリング戦略」です。具体的には、定期的なメルマガ配信、LinkedInでの情報発信、リターゲティング広告などを組み合わせることで、関心が再び高まったタイミングを捉えることができます。また、相手の行動履歴に応じたステップメールや、自社サイトでの閲覧内容に合わせた提案なども有効です。ナーチャリングは「まだ動かない顧客」に対しての長期戦略であり、成果の蓄積にもつながります。単発の接触では終わらせず、関係性を育てていく視点が成果を左右します。
5. 中国市場は“特別ルール”|WeChat・ローカライズ対応のすすめ
中国向けWebの表示・接続エラーを回避するには?
中国では「グレートファイヤーウォール」と呼ばれる通信規制の影響により、GoogleやYouTube、Facebook、外部CDNなどが正常に表示されないケースが多くあります。日本のWebサイトをそのまま流用すると、地図が表示されなかったり、読み込みが極端に遅くなったりといった問題が発生し、ユーザーの離脱につながります。対策としては、中国国内からでも安定して表示されるCDNの選定、Googleサービスの代替、そして軽量かつシンプルな構成が必要です。特に企業向けサイトでは、信頼感を損なう表示不具合は大きな機会損失につながるため、中国市場では独自設計が前提となります。
翻訳ではなく“ローカライズ”が信頼獲得のカギ
中国市場に対応する際、多くの企業が直面するのが「翻訳だけでは伝わらない」という問題です。言語の壁だけでなく、文化・商習慣・期待される表現のニュアンスなども異なるため、直訳されたコンテンツでは相手に響きません。たとえば「導入事例」や「会社概要」といった定番コンテンツも、構成や伝え方に地域ごとの最適化が求められます。現地のBtoB企業が安心して問い合わせをするには、「よくある質問」「担当者紹介」「即時連絡可能な方法」なども重視されます。ローカライズとは単なる翻訳ではなく、現地視点で“信頼される構造”を作ることです。コンテンツの質が企業の印象を大きく左右します。
チャット・QRコード対応など問い合わせ動線の最適化
中国のユーザーは、メールや電話よりもチャットアプリを使った即時対応を好む傾向があります。特にビジネスシーンでは、WeChatを使ったやり取りが一般化しており、問い合わせフォームだけを設置していても連絡につながらないケースが多くあります。そのため、中国向けサイトでは、QRコードでのWeChat誘導、オンラインチャットの常設、営業時間外の自動応答など、問い合わせの敷居を下げる工夫が必要です。また、メールアドレスや電話番号も可能であれば現地法人用のものを用意することで、信頼感が増します。問い合わせを“待つ”のではなく、“促す”設計がコンバージョン率を大きく左右します。
6. まとめ|海外営業を進化させるなら“組み合わせ”がカギ
どちらか一方では不十分。両輪で走るからこそ成果に繋がる
海外営業においては、どちらか一方の手法だけに偏ると成果が伸び悩む傾向があります。問い合わせを待つ「プル型」だけでは限界がありますし、アプローチし続ける「プッシュ型」だけではリソースがかかりすぎる場面もあります。営業効率を高め、成果を最大化するためには、この二つの手法を組み合わせて展開することが効果的です。Webからの流入を起点に、決裁者へアプローチする仕組みを整えたり、アクセス履歴を元に再接触を図ったりと、営業の選択肢は多様化しています。成果が出るまでのリードタイムも短縮され、より戦略的に営業活動を進められるようになります。
まずは小さく始めて試す。おすすめの第一歩とは?
海外営業のデジタル化といっても、最初からすべてを整える必要はありません。まずはターゲットとなる業界や国を絞り、LinkedInで企業検索をしてみる、あるいは生成AIを使って1本SEO記事を作ってみる、といった“小さな一歩”から始めることができます。そこから反応や手応えを見て改善していけば、無理なくデジタル施策を広げていくことができます。すでに成果が出ている他社の成功事例も参考になりますが、自社の業種・体制・商材に合ったやり方を試行錯誤することが肝心です。まずは一つのチャネルを整え、徐々に“攻め”と“受け”のバランスを育てていく姿勢が成功の近道になります。
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