
Linkedinを使った海外営業の成功事例を紹介
この記事からわかること
- LinkedInが海外営業で選ばれる理由&意思決定者へのアプローチ方法
- 日本企業7社によるLinkedIn活用の具体的事例と成果
- 成功企業に共通するLinkedIn営業の実践ポイントと今後の活用
海外営業の新規開拓や現地パートナーとの関係構築に悩んでいませんか?
いま世界中のBtoB企業が注目しているのが、ビジネス特化型SNS「LinkedIn」を活用した営業手法です。展示会や出張に頼らず、オンライン上で海外の意思決定者と直接つながり、信頼関係を築いて商談を成立させる企業が増えています。本記事では、なぜLinkedInが海外営業の強力な武器になるのかを解説し、日本企業7社の実際の成功事例を紹介します。
目次
1.なぜ今、海外営業にLinkedInが選ばれるのか?
海外の決裁者にダイレクトにリーチできる
LinkedInは、世界200以上の国と地域で9億人以上の会員を抱えるビジネス特化型SNSで、役員・経営層・部門責任者など意思決定権を持つ層が多く登録しています。
従来の営業手法では、海外のキーパーソンに接触するために代理店や展示会、人脈を介する必要がありましたが、LinkedInでは直接の検索・メッセージ送信(InMail)・つながり申請によって最短距離で接点を作れます。
特にBtoB営業では、メールや電話では到達しづらい層にも、職歴や関心分野などの公開情報をもとにパーソナライズしたアプローチが可能です。結果として、見込み顧客との関係構築までのリードタイムを短縮でき、商談化のチャンスを逃しません。
信頼構築・接点づくり・情報発信が一貫して行える
LinkedInは単なる連絡手段にとどまらず、企業・個人のブランド構築から関係維持までを一貫して行えるプラットフォームです。企業ページや個人プロフィールを通じて、事業内容・実績・専門知識を継続的に発信することで、フォロワーや潜在顧客との接点を増やし、長期的な信頼を蓄積できます。
さらに、投稿や記事、動画コンテンツを活用して業界内でのプレゼンスを高めることで、接触前からの関心醸成が可能。
こうした「見える化」された営業活動は、受け手に安心感を与え、やり取りのハードルを下げます。また、イベント告知やセミナー案内なども直接配信でき、営業活動とマーケティング施策を同一基盤で管理できます。
メールや電話よりも「無視されにくい」営業チャネルである
海外営業では、従来型のメールや電話は相手の興味関心に合致しない場合、開封されない・折り返しがないといったケースが多く見られます。
一方、LinkedInは相手のタイムラインや通知に直接情報が届くため、接触率が高く、無視されにくいのが特徴です。また、送信者のプロフィールや共通のつながりが一目でわかるため、信頼性が担保されやすいのも大きな利点です。
さらに、接点を持った後も投稿やコメントなどを通じて自然に関係を維持できるため、単発の営業ではなく継続的な接触が可能となります。この「認知維持と営業の融合」によって、最終的な商談化や契約に至る確率を高められるのです。
2. 日本企業のLinkedInを活用した海外営業成功事例7選
三井物産 – 海外市場における信頼構築と認知度向上
三井物産は世界100以上の拠点を持つ大手総合商社として、2021年からLinkedIn活用を本格化しました。継続的な情報発信により、海外営業における信頼構築と商談増加を実現しています。
取り組みポイント
- 運用開始:2021年に公式ページ運用を開始
- 投稿頻度:毎月10本以上(メディア掲載・パートナー情報など)
- フォロワー拡大:29万人以上に成長
- 成果:認知度向上が商談増加に直結
- 営業効果:現地訪問なしで意思決定者と接点構築
ユニクロ – 欧州・アジア市場でのブランド強化
ユニクロはグローバル展開するアパレル大手として、LinkedInを通じて欧州・アジア市場のブランド認知度を高めました。地域ごとに最適化した発信で、現地パートナーとの関係構築にも成功しています。
取り組みポイント
- 多言語発信:業界トレンドや新商品を複数言語で配信
- 現地適応:市場特性に合わせたコンテンツ制作
- ネットワーキング:ビジネスコミュニティ参加で接点拡大
- 成果:投稿エンゲージメント率前年比20%以上向上
- 商談創出:新規取引先との提携案件増加
富士通 – デジタル技術で差別化を図った海外営業
富士通は世界中に数百の拠点を持つIT大手として、LinkedIn広告を活用した精密なターゲティングで成果を上げています。顧客事例の発信を通じて信頼構築と契約拡大を実現しました。
取り組みポイント
- 広告戦略:業界・地域別の細分化ターゲティング広告
- コンテンツ発信:顧客インタビュー・事例記事を掲載
- 成果:LinkedIn経由のリード獲得前年比35%増
- 商談化率:20%以上改善
- 契約拡大:長期契約案件の増加
富士電機 – LinkedInでブランド認知度を向上
富士電機はB2Bマーケティング強化を目的に、LinkedInでの発信力を強化。製品理解を深める情報発信で、商談数と見込み顧客の質を改善しました。
取り組みポイント
- マーケ施策:オーガニック投稿+ペイド広告の併用
- コンテンツ内容:製品事例・展示会情報を発信
- 成果:製品ページ流入数前年比25%以上増
- 商談数:特定業界で半年間に15%増加
- ブランド効果:海外市場での認知度向上
オムロン – BtoBマーケティングの強化
オムロンはLinkedInを海外BtoB営業の重要ツールと位置づけ、広告と情報発信を組み合わせて成果を拡大しました。展示会前のリード確保にも有効活用しています。
取り組みポイント
- 情報発信:製品・技術の最新情報を定期的に発信
- 広告活用:業界プロ層向けにターゲティング広告配信
- 成果:海外からの問い合わせ件数前年比30%増加
- 展示会支援:事前リード獲得に活用
- ROI改善:広告費対効果の向上
エクサウィザーズ – AI事業の海外顧客開拓
エクサウィザーズはAIソリューション分野で、LinkedInを通じて海外の業界専門家に積極的にアプローチ。ターゲット企業への直接的な情報提供で契約獲得につなげました。
取り組みポイント
- 情報発信:AI関連事例・研究成果を英語で発信
- 部門連携:営業・マーケ・広報が連動
- 成果:海外からの問い合わせ半年で40%以上増
- ネットワーク拡大:キーパーソン接点数2倍に
- 契約実績:LinkedIn経由で新規案件獲得
ツネイシホールディングス – ブランド価値の向上と受賞
ツネイシホールディングスはLinkedInでのブランド構築に注力し、国際的な評価を獲得。継続的な発信で海外市場での存在感を高めました。
取り組みポイント
- ブランド戦略:定期ニュース・社員発信を実施
- 受賞歴:「Branding Excellence Award」を受賞
- 成果:海外パートナーからの問い合わせ増加
- エンゲージメント:投稿反応率前年比50%以上向上
- 市場効果:海外市場での企業検索数上昇
3.成功企業に共通するLinkedIn営業の活用ポイントとは?
継続的な情報発信で信頼を蓄積
成果を上げている企業は例外なく、LinkedInでの情報発信を継続的に行っています。単発の告知やキャンペーンだけでは、フォロワーや潜在顧客との接点はすぐに薄れてしまいますが、定期的に更新を続けることで関係性が維持され、ブランドへの信頼が着実に蓄積されます。
発信内容は製品やサービスの紹介にとどまらず、業界ニュースや導入事例、顧客の声など多様です。さらに、発信のたびに得られる反応データを分析し、次の投稿に反映させることで、ターゲット層に響くコンテンツの精度を高めています。
このように、長期的な視点で「情報発信=信頼構築」という考え方を持つことが、LinkedIn営業成功の共通点となっています。
英語プロフィールと会社ページの最適化
海外営業では、英語での発信やプロフィール整備が欠かせません。成功企業は、自社ページや担当者プロフィールを常に最新の状態に保ち、国際的な信頼感を与えるための工夫をしています。
具体的には、企業ロゴやバナー画像を高解像度で統一し、事業内容や実績を英語で明確に表記。受賞歴や導入事例も盛り込み、閲覧者が「信頼できる企業」と感じられるよう配慮します。
また、検索性を高めるため、業界で使われるキーワードを自然に組み込み、必要に応じて構成を見直しています。こうした最適化は単に見た目を整えるだけでなく、相手の理解と信頼獲得のスピードを上げる重要な役割を果たしており、国際的な競争力向上につながっています。
決裁者への接点づくり
LinkedInを活用する企業が共通して重視しているのは、意思決定権を持つ人物との接点構築です。単に大量のリードを獲得するのではなく、商談化の可能性が高い相手を見極めてアプローチしています。
検索機能やSales Navigatorを駆使して役職や業種、地域で対象を絞り込み、共通の知人や関心事を入口に接触を試みるのが特徴です。いきなり営業色を強めるのではなく、まずはフォローやコメント、関連情報の共有など段階を踏んだ関係構築を行い、信頼が醸成された段階で商談へと進みます。
こうした丁寧なプロセスにより、意思決定者と継続的に交流し、最終的な契約成立までの道のりを短縮できる点が、成功企業のLinkedIn営業の大きな特徴です。
4.まとめ:LinkedInを使った営業が切り開く未来
LinkedInは、海外営業において信頼構築と効率的なターゲティングを同時に実現できる強力なプラットフォームです。本記事で紹介した企業は、いずれも継続的な情報発信や英語対応のプロフィール整備、そして決裁者との接点づくりを意識的に行い、現地訪問を伴わない営業で成果を上げています。
従来の展示会や代理店頼みの営業スタイルから脱却し、オンラインでの認知醸成から商談化までを一貫して行うことで、リードタイムの短縮と成約率の向上を実現している点が共通しています。
今後、海外市場への進出や取引拡大を目指す企業にとって、LinkedInは単なる営業支援ツールではなく、ブランド戦略や顧客関係構築の中核を担う存在になるでしょう。デジタル化が加速する中、この潮流に乗るか否かが、国際競争での優位性を左右すると言っても過言ではありません。LinkedInがまだ普及していない国内ばかりに目を向けず、世界を意識して今すぐアクションを起こしましょう。

監修者紹介
中島 嘉一 代表取締役
SNSリンク:https://linktr.ee/nakajima
株式会社コスパ・テクノロジーズ 代表取締役。
愛媛大学情報工学部卒業後、船井電機にて中国駐在し5,000人規模の組織管理とウォルマート向け海外営業を担当。
上海で起業し通算10年の中国ビジネス経験を持つ。Web制作・デジタルマーケティング歴13年以上で現在は英語圏・中華圏を中心とした海外展開支援のスペシャリストとして活動。
多言語Webサイト構築、越境EC、SNS・広告運用を駆使して企業の海外顧客開拓から、国内向けWebサイト制作・ブランディングまで、戦略立案から実行まで一貫サポート。
海外ビジネスに関するセミナーやイベントに登壇するほか、SNS総フォロワー5万人以上、中小機構海外販路開拓アドバイザーとして中小企業から上場企業まで幅広く支援実績を持つ。