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斜めに見るW杯

2022.12.01
高畑龍一

水を差すようで恐縮だが、サッカーW杯はいかがなものかと思っている。だいぶ前に思わず興奮して観てしまい、反省したことがあるからだ。「思わず興奮」は半藤さんが言う「熱狂」そのものである。

NHK:半藤一利 「戦争」を解く
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/LG7JG59QNK/

「ニッポンが絶体絶命の状況をひっくり返して大勝利」というストーリーはドラマ性がとても高い。引き込まれてしまうのは当然。そこに理屈は要らない。何も考えずに熱狂できる。日々の煩わしいことや悩みを忘れさせてくれる。気分が高揚して自分までもが勝った気になる。

しかし、これ、恐くないか。

さらに、メディアが各選手の生い立ちや趣味などを紹介して親近感を煽る。「恵まれない境遇で育ちました」だと人気が高まる。他人事とは思えなくなり、ますます応援に熱が入る。

これも恐ろしい。熱狂は思考停止に他ならない。

一方、日本人選手がいない、少なくとも一線にいない競技は心穏やかに観戦できる。特にアメリカのプロスポーツは映像のレベルが高いから、何故そのプレーをコールしたのか、何故そのミスが生じたのかなど、冷静に分析できる。どちらが勝とうが、誰が一番になろうが、どうでもいい。結果ではなく、各チーム、各選手の考え方を純粋に楽しめる。

熱狂はマーケティングに通じ、思考はブランディングに通じる。

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