COSPA technologies

コロナ病棟でコミュニケーション

2022.11.10
高畑龍一

我が家で初のコロナ感染者が出た。幼い息子だ。しばらく調子が悪かったので病院で検査してもらったところ、コロナの他にも2種類のウィルスに感染していることが判明して、念のために入院治療することになった。「お父さんにも付き添いで入っていただきます」と言われて受けた検査では「コロナ陰性」だったが、「感染されるリスクは高いです」とのこと。まあ、感染者と同室に閉じ込められるのだから、そうりゃそうだろう。

息子は入院翌日には回復に向かい、4日で退院できた。早く治ったのにもホッとしたし、隔離状態から解放されたのにもホッとした。それに、自身が感染した兆候もない。いまも異常なしなので、感染していないか、あるいは感染していても無症状なのだろう。意外にコロナ耐性が高いのかもしれない。

溜まっている仕事を片付けようと病室に持ち込んだパソコンは息子に占拠され、Youtubeプレーヤーと化した。そして、入院3日目には歌って踊るためのDJマシンとなっていた。人間、楽しければ笑顔になる。元気があれば踊り出す。言葉を獲得する前の表現方法だ。笑顔で踊る姿を見た方も楽しくなる。いっしょに踊る。気持ちが伝わる。コミュニケーションの原点である。

言葉は正確性を担保するが、気持ちを伝えるには不利なツールだ。この文章を読んでもすぐには楽しくならない。文章を読んで状況を理解し、場面を想像したり、自らの経験に照らしたりして、初めてイメージできる。それよりも、我が息子が病室のベッドの上で飛び跳ねている動画を見る方がいい。

私たちがデザインやビジュアルを重視するのもそういうことだ。まずは視覚に訴えかけて「気持ち」を感じてもらい、それから説明して正確に理解してもらう。デザイン>テキスト。だから、「気持ち」をどうデザインするか、そのデザインに沿ってどうテキストを構成するかが重要になる。

息子もそのうち「○○のゲームが欲しい。友達もみんな持っている」とか言い出すだろうから、その前にコミュニケーションの原点をもう少し楽しめるといいなと思う。

RELATED

MORE

latest

MORE