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物質と精神

2022.02.17
高畑龍一





事前にいろいろあった北京五輪だが、案の定、開幕後もいろいろあり、変な盛り上がりを見せている。その中で目立ったのがスノーボードだろう。見た目も派手だし、平野歩夢選手や村瀬選手はサイドストーリーも面白い。一方、スノボの影に隠れていてやや地味な印象だが、モーグルもすごかった。選手たちはいったいどういう足腰をしているのか。

そのモーグルではスキー板も話題になった。「ID one」という日本のブランドだ。堀島選手や川村選手のほかに多くの外国人選手も使っていることを今回の五輪で知った。「張り付くようなペタッとした感覚が欲しい」という上村選手の相談に応えて開発がスタートし、その後、芯材の選択やエッジの形状に工夫を凝らした結果、「しなやかさ」が世界で評価されるようになったという。

たしかに、衝撃に耐える強度と雪面のコブに吸い付くような柔軟性を両立させることは難しそうだ。試行錯誤の繰り返しの裏には難題に挑戦する強い思いがあったはずだ。しかし、同時に、そこには謎解きのような面白さもあったと思う。ついついのめり込む。時を忘れる。世界の頂点に立つためにはそういう姿勢が必要だ。義務感だけでは上りつめられない。

私たちが出会ってきた日本の多くのメーカーも同じである。ジャンルは違えど、評判がいいメーカーはどこでも、社長や開発担当者の情熱やこだわりが品質を支えている。表面的にはクールな普通のビジネスなのだが、実は個人的な思い入れが鍵だというところがとても面白い。思いがモノに込められると、モノを使う側にそれが時空を超えて伝わるところも極めて興味深い。だからWebサイト制作はやめられない。


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